2017年イギリス総選挙

2017年イギリス総選挙：EU離脱の影とハング・パーラメント

2017年6月8日に行われたイギリス総選挙は、当初予定よりも早く実施されることになった、重要な選挙でした。選挙の背景には、イギリスの欧州連合（EU）離脱という大きな問題がありました。テリーザ・メイ首相の主導で、早期に総選挙を行うことが決定されました。

選挙への道筋：前倒し選挙の決定

本来、次の総選挙は2020年5月7日に行われる予定でした。しかし、メイ首相は、ブレグジット（Brexit、イギリスのEU離脱）交渉を有利に進めるため、2017年4月18日に議会を解散し、総選挙を前倒しすることを発表しました。この決定は議会で承認され、5月3日に議会が解散、選挙戦が本格的に始まりました。

選挙の争点：EU離脱と国民の選択

この選挙の最大の争点は、EU離脱でした。メイ首相率いる保守党は、強硬な離脱路線を掲げ、国民投票の結果を尊重する姿勢を強調しました。一方、最大野党である労働党は、よりソフトな離脱や国民投票のやり直しを求めるなど、様々な立場がありました。EU離脱に対する国民の意見は大きく分かれており、それが選挙結果に大きく影響しました。

選挙データ：制度と有権者

選挙は、650議席を争う単純小選挙区制で行われました。18歳以上のイギリス国民や、一定の条件を満たす英連邦市民、アイルランド共和国市民が選挙権を持ちました。選挙は秘密投票、単記投票で行われ、4683万人を超える有権者が投票しました。

選挙結果：ハング・パーラメントの誕生

選挙の結果、保守党は得票率を増加させたものの、議席数は減少しました。単独過半数を獲得できず、ハング・パーラメント（宙ぶらりんの議会）となりました。労働党も議席数を増やしましたが、政権交代には至りませんでした。これは、第二次世界大戦後では3度目のハング・パーラメントとなりました。

スコットランド国民党は議席を減らし、自由民主党は議席を増やしました。その他、いくつかの政党は議席を獲得できませんでした。注目すべきは、北アイルランドの政党です。民主統一党（連合王国帰属派）とシン・フェイン党（アイルランド帰属派）はそれぞれ議席を増やし、北アイルランド情勢の複雑さを示しました。

政権維持への道：民主統一党との協力

ハング・パーラメントとなったため、保守党は政権維持のため、他の政党との協力が必要になりました。保守党は、北アイルランドの民主統一党と協議を始め、閣外協力を得ることで、辛うじて過半数を超える議席を確保しました。シン・フェイン党は英国君主への忠誠を拒否するため、実質的な過半数はさらに少ない議席数で成立することになりました。

まとめ：EU離脱と政局の不安定化

2017年イギリス総選挙は、EU離脱問題が大きく影響した選挙でした。保守党は第一党を維持したものの、単独過半数を獲得できず、ハング・パーラメントという政局の不安定化を招きました。民主統一党との協力によって政権は維持されましたが、イギリスの政治は、EU離脱問題だけでなく、民族問題や政党間の複雑な関係など、多くの課題を抱えていることを示しました。この選挙の結果は、イギリスの政治の未来に大きな影響を与え続けました。

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