2018年のMoto2

2018 Moto2世界選手権：激動のシーズンとバニャイアの栄光

2018年のMoto2世界選手権は、FIMロードレース世界選手権の第70回大会における中量級クラスとして、多くの注目を集めました。前年チャンピオンのフランコ・モルビデリはMotoGPクラスへステップアップしたため、新たな王者を決するシーズンとなりました。この年は、2010年から使用されてきたホンダCBR600RRの直列4気筒エンジンが使用される最後のシーズンでもあり、翌2019年からはトライアンフ製の765cc直列3気筒エンジンへと移行することが決まっていました。

シーズンを通して、タイトル争いは非常に激しく展開されました。最終的に、フランチェスコ・バニャイアが第18戦マレーシアグランプリで3位に入ることで、見事チャンピオンに輝きました。ランキング2位にはミゲル・オリベイラ、3位にはバニャイアのチームメイトであるブラッド・ビンダーが続きました。

ライダーとチームの変遷：新たな顔ぶれと再挑戦

このシーズンでは、多くのライダーがチームを移籍したり、MotoGPやMoto3からMoto2にステップアップしたりと、大きな変化が見られました。

サム・ロウズはMotoGPからMoto2に復帰し、EG 0,0マルクVDSに移籍しました。
ジョアン・ミルはMoto3チャンピオンとしてMoto2に参戦、EG 0,0マルクVDSで活躍しました。
ロマーノ・フェナティはマリネリ・スナイパーズ・チームと共にMoto2にステップアップしました。
シャビ・ビエルヘはテック3からダイナボルト・インタクトGPに移籍し、空いたテック3の席にはボー・ベンドスナイデルが昇格しました。
ルカ・マリーニとステファノ・マンツィはそれぞれチームを移籍、マリーニは兄のバレンティーノ・ロッシのチームであるスカイ・レーシングチームVR46へ、マンツィはフォワード・レーシングへ加入しました。
エクトル・バルベラはポンスHP40から中量級クラスに復帰し、チームメイトにはフォワード・レーシングから移籍したロレンツォ・バルダッサッリが加わりました。
ジョー・ロバーツはNTS RWレーシングGPに加入し、スティーブン・オデンダールと共にチームを組むことになりました。
フェデリコ・フリーニはアビンティア・レーシングのザビエル・シメオンの後釜としてタスカ・レーシング・スクーデリアMoto2からフル参戦を果たしました。
ダニー・ケントはスピードアップ・レーシングに加わり、長島哲太はイデミツ・ホンダ・チーム・アジアに移籍しました。
アクセル・ポンスはMotoGPのファクトリーテストライダーに転身しました。
ファビオ・クアルタラロはスピードアップ・レーシングに加入しました。
ジュール・ダニーロはSAGレーシングチームでMoto2デビューを果たし、イサック・ビニャーレスと共にチームを組むことになりました。
エリック・グラナドはフォワード・レーシングに加わりました。
ズルファミ・カイルディンはSICレーシングチームでMoto2に復帰しました。

シーズン中盤には、怪我や事故、成績不振などにより、多くのライダー交代劇が起こりました。ドミニク・エガーター、レミー・ガードナーといったライダーが怪我で欠場し、代役ライダーが起用されました。また、ズルファミ・カイルディン、エクトル・バルベラ、エリック・グラナドらがチームを離脱し、それぞれ代役が務めることになりました。ロマーノ・フェナティの危険行為による出場停止とチームからの解雇、ダニー・ケントの解雇なども大きな話題となりました。ボー・ベンドスナイデルの怪我による代役起用もシーズン終盤を彩りました。

チームの変動とマシンの変更

チームの動向も激しく変化しました。NTSはフル参戦を果たし、フォワード・レーシングとダイナボルト・インタクトGPはマシンの変更を行いました。タスカ・レーシング・スクーデリアMoto2は2台体制に拡大し、CGBMエヴォリューションとキーファー・レーシングはKTMマシンへと移行しました。マリネリ・スナイパーズ・チームはMoto2にステップアップし、AGRチームは撤退しました。ペトロナスとセパン・インターナショナル・サーキットのパートナーシップによりSICレーシングチームが復帰し、キーファー・レーシングは1台体制へと縮小しました。

カレンダーの変更とレース結果

イギリスグランプリはシルバーストン・サーキットで開催されましたが、悪天候により全レースがキャンセルされるという事態が発生しました。タイグランプリがカレンダーに追加され、カタルーニャグランプリでは新しいコースレイアウトが採用されました。

最終的に、バニャイアがチャンピオンを獲得した2018年Moto2世界選手権は、ライダー、チーム、マシン、そしてレースそのものにおいて、大きな変化とドラマに満ちた、記憶に残るシーズンとなりました。様々な出来事が交錯したこのシーズンは、Moto2の歴史に刻まれた重要な1年と言えるでしょう。

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