2019年の鉄道
2019年（平成31年・令和元年）の鉄道界は、世界各地で新たな鉄道路線が開業したり、既存区間が延伸されたりするなど、ネットワークの拡大が活発に進みました。しかしながら、日本では大型台風や記録的な豪雨による甚大な自然災害が発生し、各地の鉄道網に壊滅的な被害をもたらしました。また、国内外での列車事故や社会情勢の変化が運行に大きな影響を与えるなど、多くの困難にも直面した一年でした。
年明けから、中国では高速鉄道網や都市部の地下鉄・ライトレールの新規開業や延伸が相次ぎ、特に顕著な動きが見られました。アジアでは他にも、チリのサンティアゴ、インドのデリーやハイデラバード、オーストラリアのキャンベラ、パナマ、カタールのドーハなど、多くの都市で都市鉄道のネットワークが拡大しています。ヨーロッパでも、サンクトペテルブルク、ウィーン、ボルドー、ニース、パリ、ジュネーブといった主要都市でトラムや地下鉄の延伸・新規開業が行われ、都市内交通の利便性向上が図られました。
日本国内では、3月におおさか東線が放出駅から新大阪駅まで延伸し、大阪東部と大阪市内を結ぶ新たなルートが完成しました。10月には沖縄都市モノレール（ゆいレール）が首里駅からてだこ浦西駅まで延伸し、沿線住民の足として期待が寄せられました。11月末には、相模鉄道とJR東日本を結ぶ相鉄新横浜線の一部区間が開業し、念願の都心直通運転が始まり、首都圏の鉄道ネットワークに新たな結びつきが生まれました。
10月1日には、消費税率が10%に引き上げられたことに伴い、日本の多くの鉄道事業者で運賃体系が見直されました。これにより、ほぼ全ての路線の運賃が上昇しました。また、サービス面では、JR東海や愛知環状鉄道でICカード「TOICA」の利用可能区間が拡大したり、富山地方鉄道や熊本電気鉄道などで駅ナンバリングが導入されました。さらに、湘南モノレールが国内の鉄道会社として初めてQRコード決済「PayPay」を導入するなど、新たな決済サービスへの対応も見られました。駅名についても、関西圏の大手私鉄を中心に、梅田駅や河原町駅といった主要駅が「大阪梅田駅」「京都河原町駅」のように変更されるなど、利用者に分かりやすい名称への改称が多く実施されました。
2019年は特に自然災害が鉄道運行に大きな爪痕を残しました。7月の梅雨前線による九州南部の豪雨では、肥薩線の一部区間が長期運休するなど被害が発生しました。そして秋には、令和元年房総半島台風（台風15号）や令和元年東日本台風（台風19号）が相次いで日本列島を襲い、各地の鉄道網に壊滅的な被害をもたらしました。特に東北地方や北信越地方では、河川の氾濫により駅や車両が浸水したり、橋梁が流失・損壊するなど、復旧に数ヶ月以上を要する深刻な事態となりました。これらの台風により、広範囲の在来線や新幹線が大規模かつ長期にわたって運休し、利用者や地域社会に多大な影響が出ました。
国内外での列車事故も複数発生しました。デンマークでの列車衝突事故や、エジプトでの駅構内火災を伴う衝突事故、コンゴ民主共和国やパキスタン、バングラデシュでの脱線事故など、残念ながら多くの死傷者を出す事故が起こりました。日本国内でも、京浜急行電鉄の踏切事故による脱線、横浜シーサイドラインの逆走事故などが発生し、運行の安全性が問われました。また、香港では「逃亡犯条例改正案」に反対するデモが激化し、MTR（香港鉄路）の駅が一時閉鎖されたり、施設が破壊されるなど、社会情勢が鉄道運行に直接影響を与える出来事も頻繁に見られました。
鉄道車両においても、新時代の到来を告げる新型車両が登場しました。JR東日本の豪華特急E261系「サフィール踊り子」や、JR東海のハイブリッド車両HC85系、西武鉄道の特急形電車001系「Laview」、相模鉄道のJR線直通対応車両12000系などが姿を見せました。その一方で、国鉄時代から長らく活躍してきたJRの485系「宴」や105系、電気機関車EF200形などが相次いでその役目を終え、引退しました。鉄道友の会が選定する優れた車両には、ブルーリボン賞に小田急電鉄の特急ロマンスカー70000形「GSE」、ローレル賞には相模鉄道20000系と叡山電鉄の観光用車両730形「ひえい」が選ばれています。
2019年の鉄道界は、世界的な鉄道網の拡大やサービス向上といった前向きな進展が見られた一方で、予測困難な自然災害や国内外での事故、社会的な混乱といった要因が鉄道の安全かつ安定した運行に大きな影を落とした一年でした。特に秋に発生した台風による被害は甚大で、改めて自然災害に対する鉄道施設の脆弱性や、災害発生時の早期復旧に向けた課題が浮き彫りになった年であったと言えるでしょう。
新規開業と延伸の活況
年明けから、中国では高速鉄道網や都市部の地下鉄・ライトレールの新規開業や延伸が相次ぎ、特に顕著な動きが見られました。アジアでは他にも、チリのサンティアゴ、インドのデリーやハイデラバード、オーストラリアのキャンベラ、パナマ、カタールのドーハなど、多くの都市で都市鉄道のネットワークが拡大しています。ヨーロッパでも、サンクトペテルブルク、ウィーン、ボルドー、ニース、パリ、ジュネーブといった主要都市でトラムや地下鉄の延伸・新規開業が行われ、都市内交通の利便性向上が図られました。
日本国内では、3月におおさか東線が放出駅から新大阪駅まで延伸し、大阪東部と大阪市内を結ぶ新たなルートが完成しました。10月には沖縄都市モノレール（ゆいレール）が首里駅からてだこ浦西駅まで延伸し、沿線住民の足として期待が寄せられました。11月末には、相模鉄道とJR東日本を結ぶ相鉄新横浜線の一部区間が開業し、念願の都心直通運転が始まり、首都圏の鉄道ネットワークに新たな結びつきが生まれました。
運賃改定とサービスの変化
10月1日には、消費税率が10%に引き上げられたことに伴い、日本の多くの鉄道事業者で運賃体系が見直されました。これにより、ほぼ全ての路線の運賃が上昇しました。また、サービス面では、JR東海や愛知環状鉄道でICカード「TOICA」の利用可能区間が拡大したり、富山地方鉄道や熊本電気鉄道などで駅ナンバリングが導入されました。さらに、湘南モノレールが国内の鉄道会社として初めてQRコード決済「PayPay」を導入するなど、新たな決済サービスへの対応も見られました。駅名についても、関西圏の大手私鉄を中心に、梅田駅や河原町駅といった主要駅が「大阪梅田駅」「京都河原町駅」のように変更されるなど、利用者に分かりやすい名称への改称が多く実施されました。
深刻な災害、事故、社会情勢の影響
2019年は特に自然災害が鉄道運行に大きな爪痕を残しました。7月の梅雨前線による九州南部の豪雨では、肥薩線の一部区間が長期運休するなど被害が発生しました。そして秋には、令和元年房総半島台風（台風15号）や令和元年東日本台風（台風19号）が相次いで日本列島を襲い、各地の鉄道網に壊滅的な被害をもたらしました。特に東北地方や北信越地方では、河川の氾濫により駅や車両が浸水したり、橋梁が流失・損壊するなど、復旧に数ヶ月以上を要する深刻な事態となりました。これらの台風により、広範囲の在来線や新幹線が大規模かつ長期にわたって運休し、利用者や地域社会に多大な影響が出ました。
国内外での列車事故も複数発生しました。デンマークでの列車衝突事故や、エジプトでの駅構内火災を伴う衝突事故、コンゴ民主共和国やパキスタン、バングラデシュでの脱線事故など、残念ながら多くの死傷者を出す事故が起こりました。日本国内でも、京浜急行電鉄の踏切事故による脱線、横浜シーサイドラインの逆走事故などが発生し、運行の安全性が問われました。また、香港では「逃亡犯条例改正案」に反対するデモが激化し、MTR（香港鉄路）の駅が一時閉鎖されたり、施設が破壊されるなど、社会情勢が鉄道運行に直接影響を与える出来事も頻繁に見られました。
車両の動きと受賞
鉄道車両においても、新時代の到来を告げる新型車両が登場しました。JR東日本の豪華特急E261系「サフィール踊り子」や、JR東海のハイブリッド車両HC85系、西武鉄道の特急形電車001系「Laview」、相模鉄道のJR線直通対応車両12000系などが姿を見せました。その一方で、国鉄時代から長らく活躍してきたJRの485系「宴」や105系、電気機関車EF200形などが相次いでその役目を終え、引退しました。鉄道友の会が選定する優れた車両には、ブルーリボン賞に小田急電鉄の特急ロマンスカー70000形「GSE」、ローレル賞には相模鉄道20000系と叡山電鉄の観光用車両730形「ひえい」が選ばれています。
まとめ
2019年の鉄道界は、世界的な鉄道網の拡大やサービス向上といった前向きな進展が見られた一方で、予測困難な自然災害や国内外での事故、社会的な混乱といった要因が鉄道の安全かつ安定した運行に大きな影を落とした一年でした。特に秋に発生した台風による被害は甚大で、改めて自然災害に対する鉄道施設の脆弱性や、災害発生時の早期復旧に向けた課題が浮き彫りになった年であったと言えるでしょう。
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