2023年のラジオ (日本)

2023年の日本のラジオ業界は、数々の大きな節目を迎えました。長年親しまれてきた多くの番組がその歴史に幕を閉じ、同時に新しいコンセプトの番組が次々と誕生するなど、リスナー体験や放送のあり方に多様な変化が見られた一年です。

番組編成においては、大規模な改編が複数局で行われました。特にTBSラジオでは、平日午後のワイド番組の放送時間を大幅に変更し、『ジェーン・スー 生活は踊る』や『金曜ボイスログ』が拡大され、『こねくと』や『金曜ワイドラジオTOKYO えんがわ』も開始時間を繰り下げて枠を拡大。また、夜の帯番組『アフター6ジャンクション』が『アフター6ジャンクション2』として時間・曜日を縮小してリニューアルするなど、大胆な再編が実施されました。文化放送の深夜ワイド『レコメン！』も放送20周年を前にパーソナリティを一新し、Z世代を意識した内容へと生まれ変わっています。NHKラジオ第1では、平日午前の新ワイド『ふんわり』がスタート。個性豊かなパーソナリティ陣で話題を集めました。また、JFNC制作の全国ネット番組『レコレール』や『THE G.O.A.T.』が新たに始まり、地域を越えたラジオの聴取スタイルに対応する動きも見られました。

長寿番組の終了も相次ぎました。TBSラジオの平日午後の顔として11年間放送された『たまむすび』、パナソニック一社提供の民放最長寿番組として多くの局で放送されてきた『歌のない歌謡曲』が、それぞれ長い歴史に幕を閉じました。また、NHK-FMの『トーキング ウィズ 松尾堂』（16年）、J-WAVEの坂本龍一氏ナビゲート番組『RADIO SAKAMOTO』（20年3か月）、文化放送の『A&Gメディアステーション こむちゃっとカウントダウン』（20年半）、bayfmの三宅健氏の冠番組『三宅健のラヂオ』（18年）、ラジオ関西の『ビバ!タカラジェンヌ』（43年）、KBS京都の『武部宏の日曜とーく』（26年4か月）など、各局の看板番組や個性的な番組が終了し、リスナーに惜しまれました。

一方で、注目の新番組も数多くスタート。TBSラジオの『こねくと』『金曜ワイドラジオTOKYO えんがわ』はポッドキャストとの連携を深め、J-WAVEでは俳優の松下洸平氏や山田健人氏、日向坂46の小坂菜緒氏らがナビゲーターを務める新番組を開始。文化放送ではVTuberがパーソナリティを務める深夜番組が複数開始されるなど、ターゲット層やフォーマットの多様化が進みました。プロ野球開幕に伴う中継や関連番組、『オールナイトニッポン』55時間スペシャル、追悼特別番組など、期間限定や特定のテーマに絞った特番も多数放送され、話題を提供しました。

出演者の動向も活発でした。体調不良で休養していた中居正広氏や壇蜜氏が番組に復帰。一方で、健康問題で休養したり、番組を降板したりするケースも見られました。NHKや各民放局のアナウンサー、タレント、アーティストの退職や移籍も報じられ、ラジオパーソナリティの顔ぶれにも変化が生じました。

ラジオ業界に大きな影響を与えたのは、著名な関係者の訃報です。音楽家の高橋幸宏氏（YMO）、坂本龍一氏、シンガー・ソングライターの谷村新司氏、KAN氏など、ラジオ番組でも長年活躍した方々が相次いで逝去されました。各局では追悼特番を編成し、その功績を偲びました。また、落語家の笑福亭笑瓶氏、俳優・タレントの上岡龍太郎氏、中村メイコ氏など、ラジオパーソナリティとしても親しまれた方々の訃報も続きました。

ラジオ局自身の動きとしては、多くの民放局が開局70周年を迎えました。NHK松江放送局やRSK山陽放送が新社屋に移転し、福岡の九州朝日放送や熊本放送、新潟放送がCIやロゴを刷新するなど、新たなスタートを切る局もありました。コミュニティFMでは、資金難などを理由に閉局する局があった一方で、元パーソナリティらが引き継いで再開局する動きや、新たな局が開局する事例もありました。

その他、TBSラジオのメール自作自演問題や、MBSラジオにおけるコメンテーターの不適切発言など、番組の信頼性や表現に関する問題も発生しました。radikoの配信エリア拡大や、新たなラジオCMセールス手法の実証実験など、聴取環境や広告に関する技術的な取り組みも進められました。さらに、旧ジャニーズ事務所の社名変更に伴い、所属タレントが出演する番組名の変更なども行われました。

2023年の日本のラジオは、番組の世代交代、出演者の変化、技術革新、そして訃報といった出来事が重なり、まさに変革期にあることを強く印象づける一年となりました。これらの動きは、今後のラジオがどのように進化していくのか、その方向性を示唆するものと言えるでしょう。

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