2025年万国博覧会の大阪招致構想

2025年大阪万国博覧会誘致構想

2025年万国博覧会（大阪万博）は、大阪府への誘致を目指す構想です。これは、国際博覧会条約に基づいた登録博覧会であり、メディアでは「2025年大阪万博」と称されることが一般的です。2018年11月23日、パリで開催された博覧会国際事務局（BIE）総会で、加盟国による投票の結果、日本での開催が正式に決定しました。大阪での万博開催は1970年以来55年ぶりであり、日本全体では愛知万博以来20年ぶりとなります。

構想立案の経緯

2014年7月、大阪府・市特別顧問の堺屋太一氏が、2025年万博の大阪誘致と、1970年大阪万博の会場であった万博記念公園の再利用を提唱しました。これを受け、当時の大阪市長、橋下徹氏が、2025年または2030年の万博誘致を目指す意向を表明しました。橋下氏は、1970年大阪万博が都市整備を促進したと評価し、リニア中央新幹線の全線同時開業を推進する契機にしたいと述べました。大阪府知事の松井一郎氏も、東京五輪に続く「大阪万博2度目」への意欲を示しました。

橋下市長は以前にも、五輪招致への意欲を示しており、大阪の活性化に繋げたいという考えを持っていました。2015年4月には、大阪府が「国際博覧会大阪誘致構想検討会」を設置し、有識者による「大阪開催の意義・テーマ」についてのプレゼンテーションが行われました。そこでは、「新しい国際博覧会のモデル」「いのち」「長寿」「調和」「エージレス社会」「住民参加」といったキーワードが提示されました。

検討会の座長である橋爪紳也氏は、世界的な人口増加や高齢化社会がもたらす課題を踏まえ、1970年大阪万博と2005年愛知万博の精神を継承・発展させるべきだと提言しました。松井知事はこれを受け、高齢化社会をテーマとした提案型の万博を具体的に計画する方針を示しました。

松井知事は、2015年9月にミラノ万博を視察し、BIE事務局長との会談を通じて協力を要請しました。日本政府への協力要請も積極的に行い、2015年12月には、当時の安倍晋三首相と菅義偉官房長官との会食で、万博開催への協力を打診しました。安倍首相は菅官房長官に関係省庁に準備を進めるよう指示したとされています。2016年1月には、菅官房長官との会談で正式な協力を要請しました。これにより、地元経済界の慎重な姿勢を払拭し、機運を高める狙いがありました。

2017年3月には、ダウンタウンがアンバサダーに就任し、2025日本万国博覧会誘致委員会が発足しました。同年6月には、公募で選ばれたロゴマークが決定し、松井知事がパリで初めての誘致プレゼンテーションを行いました。さらに、茶道家元の千玄室氏、デザイナーのコシノジュンコ氏、サッカー選手の本田圭佑氏など、各界の著名人が万博誘致特使に任命され、誘致活動を盛り上げました。

最終的に、2018年11月23日のBIE総会で大阪での開催が決定しました。安倍首相はビデオメッセージで、「大阪、関西、日本中の人々が皆さんの訪問を心待ちにしている」とアピールしました。開催決定後、政府は世耕弘成氏を「国際博覧会担当大臣」に任命しました。

会場候補地の選定

2015年7月の検討会で、彩都東部、万博記念公園、服部緑地、花博記念公園鶴見緑地、舞洲、大泉緑地、りんくう公園などが候補地として挙げられました。その後、夢洲も候補地に追加されました。夢洲には未利用地が多く、湾岸部の活性化に繋がるというメリットがありましたが、一方で、カジノを含む統合型リゾート（IR）の建設構想との整合性が課題となりました。2016年6月には、テーマを「人類の健康・長寿への挑戦」とし、夢洲を会場とする構想が発表されました。会場建設費は国、自治体、民間で分担し、運営費は入場料収入などで賄うとし、入場者数目標は3千万人以上と設定されました。また、会場へのアクセスとして、大阪市営地下鉄中央線の延伸などが検討されました。

招致に関する賛否

大阪の経済界からは、万博招致に対して消極的な声が多くありました。2015年の調査によると、大阪の企業は万博への参加意欲が低い傾向にあり、「わからない」が最も多く、「参加しない」という回答も目立ちました。しかし、松井知事は経済界に理解を求め、万博が経済活性化に繋がると訴えました。対立候補だった栗原貴子氏は、経済界の消極的な姿勢を指摘し、万博よりも「関西ワールドマスターズゲームズ2021」を優先すべきだと主張しました。

2016年2月には、松井知事と吉村大阪市長が関西経済3団体のトップと意見交換を行いました。大阪商工会議所の尾崎裕会頭は、「反対はしていない」と述べ、経済効果が期待できるなら協力したいという考えを示しました。

2025日本万国博覧会誘致委員会役員・委員等

誘致活動には、経済界のトップをはじめ、各界の著名人が積極的に関わっています。

会長：榊原定征（日本経済団体連合会名誉会長）
会長代行：松井一郎（大阪市長）、松本正義（関西経済連合会会長）
副会長：吉村洋文（大阪府知事）、井戸敏三（関西広域連合長）、尾崎裕（大阪商工会議所会頭）など
顧問：中西宏明（日本経済団体連合会会長）、三村明夫（日本商工会議所会頭）など
委員：寺田千代乃（アートコーポレーション社長）、斎藤保（IHI会長）、尾山基（アシックス会長）など、多くの経済界の有力者が名を連ねています。

2025年国際博覧会誘致特使：千玄室、コシノジュンコ、本田圭佑、山中伸弥、鈴木庸一、岡村善文、ポケットモンスター、ハローキティなどが任命されました。

この大阪万博は、過去の万博の歴史を踏まえつつ、新たな国際博覧会のモデルを目指し、大阪そして日本全体の活性化に貢献することが期待されています。

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