20mm口径弾

20mm口径弾：多様な火器を支える砲弾

20mm口径弾は、その名の通り口径20mmの砲弾であり、主に機関砲や対物ライフルといった火器に使用されます。歩兵が携行するには大きすぎるため、機関砲として分類されることが一般的です。第二次世界大戦以前には対戦車ライフルとしても使用されていましたが、戦車の性能向上に伴い、その役割は限定的になりました。現在では、対物ライフルとして運用される例が見られる程度です。

20mm口径弾の歴史と特徴

20mm口径は、航空機関砲として最も一般的な口径の一つです。有名なバルカン砲も20mm口径を採用しています。しかし、ヨーロッパやロシアでは、対地攻撃時の威力を重視し、より大口径の機関砲が好まれる傾向にあります。地上部隊や艦艇の低空防空火器としても広く使用されていますが、航空機の高速化に伴い、より長射程が求められるようになり、大口径化が進んでいます。

一方で、20mm機関砲は榴弾を使用可能な機関砲の中で最も軽量であるという利点があります。このため、艦艇では対テロ・対舟艇用として、簡易マウントと組み合わせて多数搭載される例が増えています。陸軍においても、軽車両で運用できる直射火力として活用されています。

20mm口径弾の主な規格

20mm口径弾には、様々な規格が存在します。以下に主な規格とその特徴をまとめました。

20×70mmRB：第一次世界大戦でドイツが航空機関砲として採用したベッカー20mm機関砲で使用。APIブローバック方式機関砲用弾薬の先駆け。
20×72mmRB：スイスのエリコン社がエリコンFF用として開発。大日本帝国海軍の九九式二十粍一号機銃でも使用。
20×80mmRB：第二次世界大戦でドイツのイカリア社が開発したMG FF機関砲用の弾薬。
20×82mm：第二次世界大戦でドイツのモーゼル社が開発したMG 151/20機関砲用の弾薬。南アフリカのダネルNTW-20対物ライフルでも採用。
20×94mm：大日本帝国陸軍が開発した二式軽量二十粍固定機関砲（「ホ五」）用の弾薬。
20×98mm：大日本帝国海軍が開発を試みたものの、開発中止となった十八試二十粍固定機銃用の弾薬。
20×99mmRB：スイスのSEMAG社が開発し、後にエリコン社が引き継いだ規格。
20×99mmR：1930年代後半にソ連赤軍向けに開発されたShVAKやベレージンB-20で使用。
20×101mmRB：スイスのエリコン社が開発したエリコンFFLや大日本帝国海軍の九九式二十粍二号機銃で使用。
20×102mm：第二次世界大戦後にアメリカ空軍向けに開発されたM39リヴォルヴァーカノンやM61バルカンで使用。
20×105mmB：ゾロターンS-18/100で使用。
20×110mmRB：スイスのエリコン社が開発したエリコンS、FFS、イスパノ・スイザHS.7、HS.9で使用。
20×110mm：イスパノ・スイザHS.404で使用され、世界中で広く普及。
20×110mm USN：アメリカ海軍が採用したMk.11およびMk.12 20mm機関砲の弾薬。20×102mmの薬莢を延長したものであり、他の20×110mm弾とは互換性なし。
20×120mm：マドセン20mm機関砲で使用。
20×125mm：大日本帝国陸軍が開発した九七式自動砲や各種航空機関砲で使用。
20×128mm：1943年に開発され、エリコン社の製品で使用されたが、後に20×139mmに取って代わられた。
20×135mm：マウザーMG 213Cで使用。
20×138mmB：スイスのゾロトゥルン社が開発し、各国の機関砲や対戦車ライフルで使用された。
20×139mm：戦後、イスパノ・スイザ社が開発し、後にエリコン社が引き継いだ。ヨーロッパでデファクトスタンダードとなっている。
20×142mm：大日本帝国陸軍が九八式高射機関砲用として開発。
20×145mmR：ボフォースm/40 20mm機関砲で使用。
20×158mm：大日本帝国陸軍が試作した試製九四式野戦二十粍機関砲用の弾薬。
20×180mmR：スウェーデンのカール・グスタフ社が開発したm/42対戦車ライフルで使用。発射時に薬莢底部が破砕し、反動を軽減する機構を持つ。

まとめ

20mm口径弾は、多様な規格が存在し、各国の技術思想や歴史を反映しています。航空機、地上部隊、艦艇と様々な分野で利用され、現代においても重要な役割を果たしています。その多様な規格は、それぞれの火器の特性や目的に合わせて開発されたものであり、20mm口径弾の歴史を紐解くことで、各国の軍事技術の発展を垣間見ることができます。

参考文献

ワールドフォトプレス『世界の重火器 - ミリタリー・イラストレイテッド』光文社、1986年6月。

関連項目

12.7x99mm NATO弾
30mm口径弾
日本工機

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