20mm機関砲 F2

20mm機関砲F2：フランスが生んだ多用途機関砲

20mm機関砲F2は、フランスのNexter社（旧GIAT社）が開発した機関砲です。様々な名称で呼ばれており、正式名称は『canon mitrailleur de 20 mm modèle F2』、略称として『20F2』『F2』、Nexter社の製品名として『20 M 693』などがあります。

開発と改良

F2は、1969年に開発されたF1機関砲の改良型として誕生しました。APDS弾の砲口初速は1300m/秒に達し、軽装甲車両に対しては1000mの有効射程を誇ります。対人、対空用途にも対応し、射撃モードは単発、バースト、連射の3種類から選択可能です。左右から異なる種類の弾薬を供給でき、薬莢は給弾側とは反対側から排出されます。

F2 ACAと呼ばれる改良型では、発射速度が900発/分にまで向上しています。

多様な運用形態

F2は、その高い汎用性から様々なプラットフォームに搭載されています。

陸上装備

車載対空システム「Toucan」や、牽引式対空機関砲である76t2（CERBERE）、53t2（TARASQUE）、53t4など、多様なバリエーションが存在します。AMX-30B2戦車、AMX-10P歩兵戦闘車、VAB T20/13といったフランス軍の主力車両にも採用されています。さらに、攻撃ヘリコプターへの搭載や、BAEシステムズによるMi-24ハインドやAH-2ローイファルクへの改修キットとしても利用されています。

海上装備

1980年代には、エリコンKA 20mm機関砲の後継として艦載型が開発されました。ガボン軍の高速戦闘艇に採用された後、フランス海軍にも導入されました。フランス海軍の艦載型は、射手、装弾手、指揮官の3名で運用され、光学式照準器を使用、発射速度は650～720発/分、最大射程はAPDS弾で6770m、HE弾で10020mに達します。弾倉は150発入りを2つ備えています。

Nexter社の提案システム

Nexter社は、F2をベースとした2種類のシステムを提案しています。1つは人力操作型の「15B」で、哨戒艇からフリゲート艦まで幅広い艦艇への搭載を想定しています。もう1つは遠隔操作無人砲塔の「NARWHAL 20B」で、海賊やテロリスト対策を目的として開発され、ジャイロスタビライザーによる安定した射撃を実現しています。これらのシステムは、乗員の安全性を向上させ、より効果的な戦闘遂行を可能にします。「15A」と「NARWHAL 20A」は、より小型で低反動のM621機関砲を採用したモデルです。

まとめ

20mm機関砲F2は、その高い性能と汎用性から、陸上、海上、空中と様々な場面で活躍する機関砲です。F1の後継として開発され、改良を重ねることで現代戦のニーズにも対応できるようになっています。今後もその高い信頼性から、世界各国で運用が続けられることが予想されます。

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