20th

カシオペア『20th』 - デビュー20周年記念ライブアルバム

フュージョン界の第一線で活躍し続ける日本のバンド、カシオペアが発表したライブアルバム『20th』は、その名の通り、バンドがレコードデビュー20周年を迎えた記念すべき年に制作された作品です。

本作に収録されているのは、1999年夏に東京・日比谷野外音楽堂で行われた記念ライブの模様です。このライブは、バンドの長い歴史と、その活動を支え続けてきたファンへの感謝を示す特別な企画として開催されました。アルバムとしては通算33枚目にあたり、ライブレコーディング作品としては6作目となります。

記念ライブの特別な構成

この20周年記念ライブが通常のライブと一線を画す最大のポイントは、当時の在籍メンバーに加えて、バンドの歴史を彩ってきた歴代のメンバーがゲストとして参加したことです。ステージに上がったのは、リーダーの野呂一生（ギター、シンセサイザー）、向谷実（キーボード）、そして鳴瀬喜博（ベース）という、当時のレギュラーメンバーです。彼らに加えて、長年サポートドラマーとしてバンドサウンドを支えてきた神保彰が参加しました。

さらに、この記念すべき夜には、過去のカシオペアを築いた面々がゲストとして招かれました。アマチュア時代の最初期にキーボードを担当していた小池秀彦、バンドサウンドに新たなグルーヴをもたらした時期のドラマーである熊谷徳明、そしてカシオペアの初期を支え、その名を広く知らしめた初代ベーシスト、櫻井哲夫がステージに登場しました。まさに、バンドの20年間の軌跡を辿るかのような、豪華な「同窓会」とも呼べる顔ぶれが揃ったのです。

歴代メンバーがそれぞれの在籍時代の代表曲や、他のメンバーとの共演を披露するなど、この日限りの特別なパフォーマンスが展開されました。これは、単に過去を懐かしむだけでなく、それぞれの時代のサウンドが現代のメンバーとの融合によってどのように響くのか、あるいは往年の名プレイヤーたちが再び集まることで生まれる化学反応がどのようなものか、といった点でも大きな注目を集めました。

アルバムとして

『20th』は、この記念ライブの熱気と興奮、そして歴代メンバーとの共演が生み出す特別な瞬間を捉えたライブレコーディングアルバムとしてリリースされました。音源作品として、当時の日比谷野音に響いた生演奏の迫力や、プレイヤーたちの高い技術、そしてゲスト参加によるスペシャルなアレンジなどを高音質で楽しむことができます。

また、このライブは映像作品としても発表されており、CDと合わせてライブの臨場感をより一層感じ取ることができます。ステージ上のメンバーの表情や、それぞれの時代のプレイヤーたちが同じステージで繰り合う様子など、視覚的な情報が加わることで、記念ライブの価値がさらに高まっています。

制作とリリース

本作のサウンド・プロデュースは、カシオペア自身が手掛けています。レコーディングおよびミキシングエンジニアは、Hiroyuki ShimuraとMasatatsu Tsubukiの両氏が担当し、記念ライブにふさわしい、クリアかつダイナミックなサウンドを実現しました。

『20th』は当初CDとして発売され、その後DVDなどの形態でもリリースされました。一部のバージョンは廃盤となっているものの、再発盤やデジタル配信などで現在でも多くのファンに親しまれています。カシオペアの歴史において、特に歴代メンバーの参加という点で非常に重要な意味を持つ作品であり、バンドのファンにとっては必聴、必見の一枚と言えるでしょう。

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