21stセンチュリー・スキッツォイド・バンド

21st Century Schizoid Band

21st Century Schizoid Band（トウェンティ・ファースト・センチュリー・スキッツォイド・バンド）は、イングランドで結成されたロックバンドです。伝説的なプログレッシブ・ロック・バンド、キング・クリムゾンの初期を支えた元メンバーたちが中心となり、彼らがかつて在籍した期間、特に1969年から1971年にかけて発表された楽曲を再現することを目的とした、いわばトリビュート・プロジェクトとして活動しました。

バンド名そのものが、キング・クリムゾンの歴史的名盤『クリムゾン・キングの宮殿』（1969年）に収録された代表曲「21st Century Schizoid Man」から採られています。このバンド名を名付けたのは、キング・クリムゾンを主宰するギタリスト、ロバート・フリップでした。

結成は2002年。

当初のメンバーは、キング・クリムゾンのオリジナル・ラインナップとして『クリムゾン・キングの宮殿』に参加したイアン・マクドナルド（フルート、キーボード、アルト・サクソフォーン）とマイケル・ジャイルズ（ドラムス）の二人に加え、マクドナルドと入れ替わる形で1970年にクリムゾンに加入したメル・コリンズ（サクソフォーン、フルート、キーボード）が参加しました。さらに、マイケル・ジャイルズの実兄で、クリムゾンの前身であるジャイルズ・ジャイルズ＆フリップで活動を共にしていたベーシストのピーター・ジャイルズ、そしてギタリスト兼ボーカリストとしてジャッコ・ジャクジクが加わった、初期クリムゾンとその周辺人脈による布陣となりました。

彼らの主な活動はライブ演奏で、セットリストの中核を成したのは、キング・クリムゾンが1969年から1971年という初期の創造的な時期にリリースした4枚のアルバム、すなわち『クリムゾン・キングの宮殿』、『ポセイドンのめざめ』、『アイランズ』、『リザード』からの楽曲でした。それに加えて、イアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルズがクリムゾン脱退後に制作した共演アルバム『マクドナルド・アンド・ジャイルズ』（1970年）からの楽曲や、他のメンバーのバック・カタログからの選曲も盛り込まれました。例えば、マクドナルドのソロ・アルバム『ドライヴァーズ・アイズ』（1999年）収録の「Let There Be Light」や、ジャクジクの手によるインストゥルメンタル曲「Catley's Ashes」なども披露されています。

メンバーの変遷としては、2002年11月の日本公演終了後、ドラムスのマイケル・ジャイルズがバンドを離れました。後任には、1971年から1972年にかけてキング・クリムゾンに在籍したドラマー、イアン・ウォーレスが加入しました。このラインナップで、バンドは2003年11月の二度目の日本公演を含むワールド・ツアーを2004年まで敢行しました。

彼らは活動期間中に4枚のライブ・アルバムを発表しています。これらは『オフィシャル・ブートレグ Vol.1』（2002年）、『ライヴ・イン・ジャパン 2002』（2003年）、『ライヴ・イン・イタリー』（2003年）、そして『ピクチャー・オブ・ア・シティー ライヴ・イン・ニュー・ヨーク』（2006年）です。これらの作品は、彼らがライブで再現した初期クリムゾンのサウンドを記録しています。

残念ながら、バンドは2004年以降、新たな活動を行っていません。メンバーが世界各地に居住しているため、継続的なツアーの実施が困難になったことが理由の一つとされています。2005年にはフェスティバルからの出演依頼があり、その際にはイアン・ウォーレスに代わり、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターなどで知られるドラマー、ガイ・エヴァンスを迎えての再結成の可能性が検討されたものの、実現には至りませんでした。

その後、バンドの中心人物たちの訃報が続きました。2007年2月にはドラマーのイアン・ウォーレスが、そして2022年2月にはオリジナル・メンバーであるイアン・マクドナルドが病のため亡くなりました。

一方、ジャッコ・ジャクジクとメル・コリンズは、ロバート・フリップと共にキング・クリムゾン関連のプロジェクトに関わります。2010年にフリップとの連名で「ア・キング・クリムゾン・プロジェクト」を始動させ、2011年にはトニー・レヴィンやギャヴィン・ハリソンらを迎えてアルバム『ア・スケアシティ・オブ・ミラクルズ』をリリース。さらに、2013年にはこのメンバーを中心に、パット・マステロットやビル・リーフリンらを加えた7人編成で新しいキング・クリムゾンが正式に編成されました。

21st Century Schizoid Bandは、短命に終わったプロジェクトではありましたが、キング・クリムゾンの初期メンバーが集結し、その革新的かつ影響力の大きい時代の楽曲をライブで再現したことは、多くのファンにとって貴重な体験となりました。

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