226 (映画)

映画『226』：雪と血の四日間

1989年に公開された映画『226』は、昭和史に残る二・二六事件を題材にした作品です。クーデターを企てた青年将校たちの視点から事件を捉え、豪華キャストと大規模なセット、そして綿密な時代考証によって、事件発生から鎮圧までの四日間を描き出しています。

作品概要

映画は、昭和恐慌下の社会不安を背景に、皇道派の青年将校たちが「君側の奸」を排除し、天皇親政を実現しようと決起する姿を描きます。彼らは、首相や重臣を襲撃し、一時的に東京を占拠しますが、天皇の鎮圧命令によって、事態は急変。内部の対立や苦悩が描かれ、事件の悲劇性を浮き彫りにします。

総製作費20億円をかけた大作であり、日本初の映画ファンドによって制作された作品としても知られています。題字には「THE FOUR DAYS OF SNOW AND BLOOD」という英語の副題が添えられています。

ストーリー

1936年2月26日、降りしきる雪の中、青年将校たちはクーデターを実行。岡田首相や高橋蔵相、斎藤内大臣らを襲撃し、陸軍の一部を掌握します。当初、陸軍高官も彼らの行動を黙認していましたが、首相の生存と天皇の断固たる鎮圧の意思が明らかになると、事態は一変。政府は勅命によって原隊復帰を命じます。多くの将校が復帰を決意する中、安藤輝三は、天皇の意思一つで手のひらを返す仲間に激怒。事件は悲劇的な結末へと向かいます。

キャスト

萩原健一、三浦友和、本木雅弘、勝野洋、佐野史郎、竹中直人など、豪華キャストが集結。青年将校たちの苦悩や葛藤、そして彼らを支える妻たちの姿を熱演しています。

制作の背景

企画は昭和の終焉を予測して立案されました。事件から半世紀を経て、関係者の実名使用が許可され、映画化が実現。河野寿の実兄である河野司が監修を務め、事件の真相に迫っています。

大規模なオープンセットが建設され、当時の街並みが再現されました。しかし、撮影中に昭和天皇の崩御があり、一時撮影が中断されるなど、困難な状況もありました。

作品の評価

脚本を担当した笠原和夫は、映画の出来に不満を表明。製作体制やプロデューサーの姿勢に苦言を呈しています。一方で、二・二六事件を扱った映画として、一定の評価を得ています。

二・二六事件を巡る映画

二・二六事件は、これまでにも多くの映画で取り上げられてきました。佐分利信監督の『叛乱』など、様々な視点から事件を描いた作品が存在します。映画『226』は、事件の真相に迫りつつ、人間ドラマとしても見応えのある作品として、記憶されるでしょう。

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