23時ショー

23時ショー：深夜の過激エンターテインメントと放送史に残る波紋

1970年代、日本のテレビ界を騒がせた深夜番組『23時ショー』。NETテレビ（現・テレビ朝日）系列で放送されたこの番組は、アダルト向けの過激な内容で注目を集め、同時期に放送されていた日本テレビ系列の『11PM』と激しい視聴率競争を繰り広げました。しかし、その過激な演出は大きな批判を招き、放送局間の対立や番組打ち切りといった波乱に満ちた歴史を持つ番組でもありました。

番組概要：色気と硬派な話題の融合

『23時ショー』は、生放送のスタジオ企画が中心。過激な色気を売り物にしながらも、政治問題など硬派な話題も取り上げる幅広い内容が特徴でした。特に番組初期の金曜日は、毎日放送が制作を担当し、上方演芸をメインに放送していました。しかし、その刺激的な内容ゆえ、視聴者からの抗議や放送倫理上の問題が常に付きまといました。

1973年には、第1次オイルショックの影響で民放キー局が深夜放送の自主規制を実施。これにより、『23時ショー』は同年12月31日に一度打ち切られました。その後、数年間の放送休止期間を経て、1977年10月に再開。1979年9月まで放送が続き、『ミッドナイトショー』や『トゥナイト』へとバトンタッチしました。

放送時間とネット局：広範囲に及んだ放送網と地域差

番組は大きく分けて第1期と第2期の2つの期間に分けられます。第1期はNETテレビクレジット表記時代で、放送時間は平日23時～23時50分。1972年10月からは土曜日も放送されました。第2期はテレビ朝日クレジット表記時代で、放送時間は23時10分～24時10分、その後23時20分～24時20分へと変更されました。

ネット局は、第1期ではNETテレビを筆頭に、北海道テレビ、中京テレビ、名古屋テレビ、毎日放送、近畿放送、サンテレビ、瀬戸内海放送、広島ホームテレビ、九州朝日放送など、全国各地に広がっていました。しかし、番組内容を巡る問題から、一部の局では放送打ち切りが相次ぎました。第2期では、テレビ朝日を筆頭に、北海道テレビ、東日本放送、静岡けんみんテレビ、名古屋テレビ、瀬戸内海放送、広島ホームテレビ、九州朝日放送が放送に参加しました。ただし、関西地区のテレビ朝日系列局である朝日放送では放送されませんでした。

出演者と主な放送内容：豪華ゲストと刺激的な企画

番組には、高島忠夫、広川太一郎といった人気司会者や、斉藤茂太、中村武志、五木ひろし、チェリッシュなど、多彩なゲストが出演しました。放送内容も多岐に渡り、「寝小便談義」「ミスペチャンコパイコンテスト」「美人霊感師夜の占術大会」「夜の美女ヌルヌル大会」など、視聴者の目を引く刺激的な企画が目白押しでした。中には政治問題を取り上げた回もあり、その幅広さが特徴でした。

エピソード：放送事故とネット打ち切り問題

『23時ショー』では様々なハプニングが発生しました。リンボーダンスで女性のパンツが破れたり、ゴーゴーダンサーが下着を着用していなかったことが放送されたりといった放送事故も発生しています。また、番組開始当初、ヌードを条件に起用されたカバーガールが、視聴者からの抗議により早期降板を余儀なくされるなど、問題も多く抱えていました。

特に大きな問題となったのが、毎日放送によるネット打ち切りでした。1971年12月3日、毎日放送は番組内容の低俗さを理由にネットを打ち切りました。これは、放送番組のやりとりを停止するという点で、日本の放送史上初の事例となりました。毎日放送社長の判断には、番組の品位、人権尊重、高齢者の視聴者への配慮といった考え方が背景にあったとされています。

中断期の番組と備考：番組の変遷とその後

第1期と第2期の放送期間中には、『スタジオ23』『ザ・23』『プレイタイム23』といった番組が放送されました。また、関西地区ではサンテレビと近畿放送で放送が継続されましたが、その後朝日放送に移行したものの、短期間で打ち切られました。

まとめ：時代の変化と放送倫理

『23時ショー』は、1970年代の深夜番組が抱えていた問題、視聴者の嗜好、放送倫理の葛藤を象徴する番組でした。過激な内容とそれをめぐる騒動は、日本の放送史に大きな足跡を残しました。番組が放送された時代背景や社会情勢、そして放送業界の変遷を理解することで、『23時ショー』の真価が見えてきます。

もう一度検索