3DダンジョンRPG

3DダンジョンRPGとは

3DダンジョンRPGは、コンピュータゲームの一ジャンルで、プレイヤーが主観視点でダンジョンを探索するロールプレイングゲームです。英語圏では「Dungeon crawl」や「Dungeon crawler」と呼ばれていました。代表的な作品は『ウィザードリィ』で、ダンジョンに潜り、敵と戦いながら装備を整え、より深部を目指すのが基本的な流れです。ダンジョンRPG、DRPGと略されることもあり、ウィザードリィ風の作品は「WizLike」と呼ばれています。

概要

3DダンジョンRPGは、1980年代初期に誕生した古典的なジャンルです。『ウィザードリィ』発祥のアメリカでは一時衰退しましたが、日本では30年以上経った現在でも新作がリリースされています。週刊ファミ通で特集が組まれるなど、根強い人気を誇っています。

特徴

マップはマス目で構成されており、プレイヤーは一歩ずつダンジョンを歩いて探索します。初期にはプレイヤーが自分で方眼紙にマップを作成していましたが、「オートマッピング」機能の導入により、ゲーム中に歩いた場所が自動的に表示されるようになりました。ダンジョン内には様々なトラップが仕掛けられており、単純な探索だけではクリアできません。

代表的なトラップ

落とし穴: ダメージを受けるものや、下の階に落とされるものがあります。
回転床: プレイヤーの向きをランダムに変えてしまい、迷子になる原因になります。
ワープゾーン: 別の場所に飛ばされてしまいます。
一方通行の扉: 一度進むと戻れない扉です。探索をやり直す必要が出ることもあります。
ダークゾーン: 周囲が見えなくなるエリアで、オートマップが見えなくなることもあります。
鍵のかかった扉: 特定の鍵を入手することで開けられる扉で、重要なアイテムやボス戦が待ち構えていることが多いです。

歴史

3DダンジョンRPGの誕生

1981年に発売された『ウィザードリィ』が、このジャンルを確立した作品とされています。キャラクターメイキング、パーティー、ジョブシステム、コマンド戦闘といった要素は、後のゲームに大きな影響を与えました。続編として『ウィザードリィII ダイヤモンドの騎士』や『ウィザードリィIII リルガミンの遺産』も発売されました。

3DダンジョンRPGの多様化

1984年には、日本初の3DダンジョンRPG『ザ・ブラックオニキス』が発売されました。ウィザードリィの複雑な要素をシンプルにしたことで人気を博し、続編の『ザ・ファイアクリスタル』も発売されました。また、『クルーズチェイサーブラスティー』のようなSFテイストの作品や、『ラプラスの魔』のような幽霊屋敷を探索する作品など、多様な世界設定の作品が登場しました。

ファミコンの登場により、当初はRPGの発売が難しかったものの、1986年に2DタイプのRPG『ドラゴンクエスト』が大ヒットし、RPGブームが起こりました。同年には、ファミコン初のオリジナル3DダンジョンRPG『ディープダンジョン』が発売されました。その後、『ウィザードリィ』もファミコンに移植され、日本オリジナルの作品も発売されるようになりました。

ストーリー性やキャラクター性の強化

当初はダンジョン探索と戦闘が中心でしたが、1980年代後半からはストーリーを重視した作品も登場しました。1987年には『デジタル・デビル物語女神転生』が発売され、悪魔を仲間にしたり合体させたりするシステムが話題を呼びました。また、『魔導物語』のように、可愛い女の子を主人公にした作品も登場しました。魔導物語は後にパズルゲーム『ぷよぷよ』に引き継がれることになります。

ポリゴンハードの誕生

1991年には、リアルタイム制戦闘を採用した『ダンジョンマスター』がPC向けに発売されました。この作品は、『ウルティマアンダーワールド』や『キングスフィールド』といった3DアクションRPGの元祖とも言われています。PlayStationなどのポリゴン描画能力を持つハードが登場すると、3DアクションRPGは独自の進化を遂げました。1996年には『女神異聞録ペルソナ』が発売されましたが、続編以降は客観視点となり、「3DダンジョンRPG」とは異なるジャンルとなりました。

ウィザードリィシリーズの多様化

1990年代末から2000年代にかけては、ウィザードリィの版権を契約した様々なメーカーから3DダンジョンRPGが発売されました。『ウィザードリィエンパイア』シリーズや『BUSIN Wizardry Alternative』シリーズなど、各社独自のウィザードリィが展開されました。2009年からは「ウィザードリィルネサンス」と銘打たれた複数の作品がリリースされました。

携帯ゲーム機市場の拡大とDRPGの復権

2007年には、ニンテンドーDSで『世界樹の迷宮』が発売され、手書きマップを作成できる点が人気を博しました。携帯ゲーム機の手軽さもあり、同ジャンルの人気が再燃しました。ウィザードリィの版権作品が気軽に作れない状況の中、オリジナルタイトルの作品が多数発売されました。『エルミナージュ〜闇の巫女と神々の指輪〜』や『剣と魔法と学園モノ。』などがヒットし、この流れはニンテンドー3DSやPlayStation Vitaといった後継機にも引き継がれました。

凡例

PC=パーソナルコンピュータ、FC=ファミリーコンピュータ、Mk-III=セガ・マークIII、PCE=PCエンジン、GB=ゲームボーイ、MD=メガドライブ、SFC=スーパーファミコン、SS=セガサターン、PS=PlayStation、GBC=ゲームボーイカラー、PS2=PlayStation 2、GBA=ゲームボーイアドバンス、携帯=携帯電話、DS=ニンテンドーDS、PSP=PlayStation Portable、3DS=ニンテンドー3DS、PS3=PlayStation 3、XB360=xbox 360、Vita=PlayStation Vita、PS4=PlayStation 4|PlayStation_4、NS=Nintendo Switch