3I/ATLAS

彗星3I/ATLASの詳細

3I/ATLAS（別名 C/2025 N1）は、2025年7月1日にチリのコキンボ州・Río Hurtadoで行われた観測によって発見された非周期彗星です。発見時にはA11pl3Zという仮称が付けられました。この天体は、非常に高い軌道離心率を持っており、おおよそ6.14という値を記録しています。これは、過去に観測された恒星間天体であるオウムアムアやボリソフ彗星を上回り、歴史上最も高い軌道離心率の天体とされています。

観測と命名の歴史

3I/ATLASの発見は、チリの小惑星地球衝突最終警報システム（ATLAS）によるもので、発見当時の明るさは約18等級、相対速度は約61 km/sでした。太陽からの距離は木星軌道の内側にあたる約4.53天文単位で、いて座とへび座の境界に位置していました。初めての観測データは、国際天文学連合（IAU）の小惑星センターに提出され、この天体は地球と接近する軌道を持つ可能性があるとされました。

他の観測結果から、この天体が星間空間からの恒星間天体であることが次第に確認され、2025年7月2日に正式に3I/ATLASと命名されました。更新された観測データでは、A11pl3Zがいわゆる地球近傍天体ではなく、二度と太陽系に戻って来ないと示されました。

軌道と運動

3I/ATLASは双曲線軌道を描き、太陽に接近する際の速度は68 km/sに達すると予測されています。2025年10月29日に近日点に到達する予定であり、この時太陽からの距離は約1.357 auに近づく見込みです。また、火星の軌道の約0.194 auにも接近し、この時に火星の探査機から観測される可能性があります。残念ながら、近接期間の9月から11月にかけては、地球からは観測できなくなることが予測されています。

物理的特徴と組成

2025年7月2日に実施された天文観測では、3I/ATLASは「明らかに活動的」とされ、約25,000 kmの長さの尾を持つことが確認されました。観測からは、コマが塵の存在を反映した赤みがかった色合いを持ち、核自体は比較的に大きいとされています。また、初期の観測データによると、3I/ATLASの絶対等級は14.8等級とされ、その後13.7等級に下方修正が行われました。

さらに、3I/ATLASは水や酸素などの化学物質を含む可能性が指摘され、観測結果によると高濃度の水の氷やケイ酸塩の粒子から構成されていることが確認されています。

論争と今後の観測

7月16日には、3I/ATLASが地球外の生命体によって作られた人工的な宇宙船である可能性についての論文が発表され、世界中で注目を集めました。しかし、他の科学者たちは、その主張を否定し、3I/ATLASは自然由来の彗星であるとする意見が圧倒的でした。今後、ハッブルやジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による観測が行われる予定であり、その結果によって3I/ATLASに関する理解がさらに深まることが期待されています。

このように、3I/ATLASは観測史上最も興味深い天体の一つとなり、その動向が注目されています。

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