79式対空レーダ装置 JTPS-P9

79式対空レーダ装置 JTPS-P9 について

79式対空レーダ装置 JTPS-P9は、三菱電機が開発した2次元レーダーで、主に陸上自衛隊の高射特科部隊に配備され、対空警戒任務を担いました。このレーダーは、目標の位置を正確に捉えることで、部隊の防空能力を大きく向上させる役割を果たしました。

主要な構成要素

79式対空レーダ装置は、以下の主要な構成要素から成り立っています。

空中線部 JAS-P8: 電波を送受信するアンテナ部分。油圧機構により昇降可能で、展開時には地上高7,185mmに達します。
送受信機部 JRT-P10: 電波の送受信を行う装置。
信号処理部 JSP-P4: 受信した信号を処理する装置。
データ処理部 JDP-P1: 処理されたデータを分析する装置。
電源部 JPU-P1: 各部に電力を供給する装置。
指示器 JIP-P11: PPIスコープを採用し、目標位置を直交座標で表示します。
制御器 JC-P11: レーダーシステムの操作を行う装置。
伝送部 JT-P3: データを伝送する装置。
味方識別器 JTPX-P5: 味方と敵を識別する装置。
電源車 JK-2: レーダーシステムに電力を供給する電源車（220V, 60Hz, 10kVA）。

これらの主要電子機器はシェルタJS-P5に収容されており、シェルタは幅2,050mm×奥行き2,950mm×高さ2,850mm、機器収容時の最大質量は1,650kgです（電源車、電源ケーブルを除く）。

運用と展開

79式対空レーダ装置は、主に師団・旅団隷下の高射特科大隊・中隊に配備されました。大隊本部には79式情報受信機1号JTRR-S1が、射撃単位部隊には79式情報受信機2号JTRR-S2が配置され、レーダーからの目標情報を受信・共有しました。73式中型トラックに搭載して移動できるほか、大型ヘリコプターによる空輸も可能です。

特徴と技術

指示器にはPPIスコープが採用されており、目標の位置を直交座標系で数値表示できます。ブラウン管と進行波管を除く構成部品は半導体化されており、信頼性と性能の向上が図られています。

後継機と関連システム

現在、79式対空レーダ装置は新型の低空レーダ装置JTPS-P18への更新が進められています。JTPS-P18はXバンドを使用することでシステム全体が小型化され、高機動車1台で完結する機動性に優れたシステムとなっています。

79式レーダ装置は、低高度から中高度の目標探知に適していますが、高高度・遠距離目標の探知には不向きです。そのため、初期には71式対空レーダ装置 JTPS-P5、後に対空レーダ装置 JTPS-P14といった大型で強力なレーダーと組み合わせて運用されていました。

参考文献

朝雲新聞社編集局『自衛隊装備年鑑』朝雲新聞社、1996年。ISBN 978-4750910178。

関連項目

陸上自衛隊の装備品一覧#通信器材・電子機材
低空レーダ装置 JTPS-P18 - 後継機。
AN/MPQ-49 - アメリカ陸軍の同級機。

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