99ep

『99ep』は、日本のロックバンド・スピッツが1999年1月1日にリリースした3曲入りEPです。12cmCDの規格で、ポリドールより発売されました。

概要

この作品は、全曲がメンバーによるセルフプロデュースでレコーディングされました。1998年のツアー「SPITZ JAMBOREE TOUR '98 "fake fur"」からサポートキーボードを担当していたクジヒロコが、レコーディングに初めて参加した作品でもあります。

草野マサムネは「いい意味で、遊び感覚みたいなところもあった」と語り、田村明浩は「アレンジにしても細かく詰めることより勢い優先、その場の雰囲気で録っちゃおうと」と、制作時の自由な雰囲気を語っています。

オリコン上では、メンバーの意向によりアルバムとして扱われています。収録された3曲は、当初リリースを前提としてレコーディングされたものではありませんでした。草野は後にこのCDについて「中途半端な作品となってしまった」と述べています。しかし、この作品以降、海外でのレコーディングを含め、セルフプロデュースでリリースを前提としないレコーディングが継続され、それらの楽曲は主にシングルのカップリングに収録されるようになりました。

2004年発売のスペシャルアルバム『色色衣』に、本作の3曲が収録されたことを機に、『99ep』は廃盤となりました。

草野は、本作のタイトル『99ep』の意味について、「特にここに収められた3曲には同等の力関係をもたせたかったから、1曲だけを選んでそのタイトルをつけたくなかったんです。それにepって外タレのマキシシングルのタイトルについてたりするでしょ。単純にそういうのもカッコイイかなと思って『99ep』にしました」と語っています。

ジャケットには、歌川広重の「月に雁」と葛飾北斎の「凱風快晴」の絵画が使用されています。初回盤は3面デジパック仕様で、『おみくじ』と『特製ステッカー』が封入されていました。

収録曲

1. ハイファイ・ローファイ
2. 魚
3. 青春生き残りゲーム

楽曲解説

ハイファイ・ローファイ
1998年のツアー「JAMBOREE TOUR '98 "fake fur"」で披露されていた楽曲。エンジニアは『空の飛び方』からの付き合いである宮島哲博が担当。本来はパンキッシュなイメージでレコーディングする予定だったとされています。

魚
水をイメージしたサウンドメイキングがなされています。エンジニアは、インディーズの頃からの付き合いである牧野英司。草野は、人間という脊椎動物の基本を魚と考えており、「人が魚というテーマで曲をつくりたいなという気持ちもあったんですよ。そういう意味では深海というか、海の底にへばりついて生きてるみたいな感じかな」と語っています。2003年のBS-TBSドラマ『恋する日曜日』セカンドシリーズ第5話「魚」の主題歌にも使用されました。

青春生き残りゲーム
この曲も「JAMBOREE TOUR '98 "fake fur"」で披露されていた楽曲。エンジニアは宮島哲博が担当。草野が発売前年の夏にAC/DC|AC_DCを聴いており、リフが若干AC/DC|AC_DCの楽曲と似た雰囲気になったとのこと。三輪テツヤがリードボーカルを務めたバージョンもレコーディングされましたが、そちらは未発表。仮タイトルは「キルト」でした。

演奏

草野マサムネ：Vocals, Guitars
三輪テツヤ：Guitar
田村明浩：Bass Guitar
﨑山龍男：Drums
クジヒロコ：Keyboards

脚注

* 出典: MdN編集部『スピッツのデザイン』（初版）エムディエヌコーポレーション、2018年2月11日。ISBN 9784844367109。

もう一度検索