色色衣

スピッツのスペシャルアルバム『色色衣』(いろいろごろも)は、2004年3月17日にユニバーサルミュージックからリリースされました。このアルバムは、ユニバーサルJレーベルから発売され、初回限定盤は3面デジパック仕様で、メンバーによる全曲解説を収録した「『色色衣』リリース記念特別座談会」が封入されています。

背景とリリース



『色色衣』は、前作から5年ぶりとなるスペシャルアルバムで、『花鳥風月』と同様に、1999年から2004年の間にアルバム未収録だった楽曲やシングルのカップリング曲、新曲を中心に構成されています。さらに、アマチュア時代にレコーディングされた「僕はジェット」が収録されている点も特徴です。

1999年にリリースされたシングル99ep』に収録されていた「ハイファイ・ローファイ」「魚」「青春生き残りゲーム」が本作に収録されたため、『99ep』は製造中止となりました。これは、アルバムのコンセプトと収録曲の選定が、スピッツの音楽史における重要な転換点を示唆していると言えるでしょう。

草野マサムネは、アルバムタイトルについて「かっこいい意味だけでなく、『ボロは着てても心は錦』のような気持ちで決めた」と語っています。当初のタイトル候補は「酔生夢死」でしたが、「死」という言葉の印象が良くないとの意見から変更されました。歌詞カードには、各楽曲の初出CDジャケットのイラストが使用されており、マスタリングはスティーヴン・マーカソンが担当しています。

2021年9月15日には、カッティングを小鐵徹が担当したレコード盤が発売され、アナログファンにとっても特別な一枚となっています。

収録曲と楽曲解説



1. スターゲイザー:28thシングルで、アルバム初収録。この楽曲でスピッツの新たな一面を感じることができます。
2. ハイファイ・ローファイ (NEW MIX):『99ep』収録曲のセルフプロデュース作品。シングル「スターゲイザー」のカップリング曲「三日月ロック その3」のエンジニアである山口州治によってリミックスされています。冒頭のカウントがカットされ、間奏前のコーラスが小さくミックスされています。
3. 稲穂 (NEW MIX):25thシングルさわって・変わって」のカップリング曲。10thアルバム三日月ロック』のエンジニア工藤雅史によってリミックスされています。
4. :『99ep』収録曲で、セルフプロデュース作品。2003年のドラマ「恋する日曜日」やアニメ『ハチミツとクローバー』の挿入歌としても使用されました。
5. ムーンライト:21stシングル「ホタル」のカップリング曲。セルフプロデュース作品で、美しいメロディーが特徴です。
6. メモリーズ:22ndシングルメモリーズ/放浪カモメはどこまでも|メモリーズ_放浪カモメはどこまでも」の両A面表題曲。オリジナルバージョンはアルバム初収録。セルフプロデュース作品です。再アレンジされた「メモリーズ・カスタム」は『ハヤブサ』に収録されています。
7. 青春生き残りゲーム (NEW MIX):『99ep』収録曲のセルフプロデュース作品。リミックスされており、2番後の間奏前に爆発音が追加されたり、ギターの配置やフェードアウトが変更されています。仮タイトルは「キルト」でした。
8. SUGINAMI MELODY:26thシングル「ハネモノ」のカップリング曲。バンジョーを取り入れたカントリー調の曲で、草野マサムネがかつて住んでいた杉並区の阿佐ヶ谷中杉通りがモチーフとなっています。
9. 船乗り:23rdシングル「遥か」のカップリング曲。セルフプロデュース作品で、叙情的な雰囲気が漂います。
10. 春夏ロケット:21stシングル「ホタル」のカップリング曲。セルフプロデュース作品で、爽快感のある楽曲です。
11. 孫悟空:27thシングル水色の街」のカップリング曲。独特の雰囲気が魅力です。
12. 大宮サンセット:24thシングル夢追い虫」のカップリング曲。草野マサムネ作詞・作曲、スピッツ編曲。タイトルの「大宮」は埼玉県の地名です。
13. 夢追い虫:24thシングルで、アルバム初収録。夢を追う気持ちを歌った、力強い楽曲です。
14. 僕はジェット (Previously Unreleased Track)インディーズ時代の未発表音源。1989年に「ヒバリのこころ」と共にデモ録音されたもので、1990年8月にリミックスされたものが収録されています。ファンにとっては非常に貴重な音源と言えるでしょう。


演奏



メンバー

草野マサムネ:Vocals, Guitars(#1,2,4‐7,11‐14), Harmonica(#9)
三輪テツヤ:Guitar, Banjo(#8)Background Vocal(#6,14)
田村明浩:Bass Guitar, Fretless Bass(#12),Background Vocal(#14)
﨑山龍男:Drums, Percussion(#8,9,11,13),Background Vocal(#14)

参加ミュージシャン

亀田誠治:Programming(#1)
クジヒロコ:Keyboards(#2,4,6,7), Background Vocal(#6,14)
中山信彦:Programming(#8)
金原千恵子グループ:Strings(#8)
石田小吉:Background Vocal(#13)
矢代恒彦:Synthesizers(#14)

『色色衣』は、スピッツの多様な音楽性を堪能できる作品であり、ファンだけでなく、幅広い音楽愛好家にもおすすめできる一枚です。

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。