9K115 (ミサイル)

9K115 メチス（AT-7 Saxhorn）

9K115は、ソビエト連邦によって開発された携行型の対戦車ミサイルシステムであり、NATOではAT-7 Saxhornという名称でも知られています。このシステムは1979年に初めて提案され、当時の9M111対戦車ロケットの代替として位置付けられました。

概要

このミサイルは、外観が9M111ファゴットに非常に似たデザインを持つ一方、軽量化が図られており、三脚の構造が簡素に変更されています。特に、推進剤を減少させることによって、運搬性が高くなっています。1980年代には9K115-2 メチス-Mという改良型も登場し、射程と弾頭の性能が向上しました。

構造と機能

9K115は簡素な三脚に取り付けられた9P151発射装置から発射されます。この発射装置は約10.2kgで、発射方式も9M111とは異なり、ブースターを用いて筒からミサイルが発射されます。誘導装置は発射筒前に設置され、電力は発射機から供給されます。

ミサイルは、発射する環境として洞窟や建物内でも使用可能ですが、発射機の後方には最低でも6メートルの空間が確保され、内部体積は100立方メートル以上必要です。肩撃ちも可能ですが、操作には高い技術が求められます。

このシステムの最大射程は1,000メートルで、最低射程は40メートルです。また、90 km/hまでの速度で移動する目標に対して有効で、弾頭は対戦車用の成形炸薬弾（HEAT）です。

運用と配備

ソ連軍においては、9K115は自動化逆射撃中隊向けに配備され、1つの中隊あたり3基の発射装置が用意されました。ミサイルは通常、2名の隊員で運用され、射手が発射装置と1発のミサイルを、弾薬手が3発のミサイルを持つ体制が取られています。

1992年時点での価格は、9M131ミサイルが13,500USドル、9P151発射装置が70,000USドルとなっていました。

各型

• - 9K115 メチス（AT-7 サクソルン）: 1979年から使用。
• - 9K115-2 メチス-M（AT-13 サクソルン-2）: 改良型。

保有国

このミサイルは以下の国々で広く運用されています：

• - クロアチア
• - ヒズボラ
• - イラン
• - ロシア
• - セルビア
• - シリア
• - 韓国

登場作品

この兵器は、さまざまなゲームに登場しており、『ARMA 2』では肩撃ち用と固定兵器の形式で、また『りっく☆じあ～す』ではソ連/ロシアをモチーフとした敵キャラとして登場します。

参考文献

• - Hull, A.W., Markov, D.R., Zaloga, S.J. (1999). "Soviet/Russian Armor and Artillery Design Practices 1945 to Present". Darlington Productions. ISBN 1-892848-01-5.

外部リンク

• - fas.org: AT-7 Metis Saxhorn/AT-13 Metis-M

このように、9K115メチスは性能と扱いやすさを兼ね備えた兵器として、多くの国で利用され続けています。

もう一度検索