9K31

9K31 ストレラ-1

9K31 ストレラ-1（ロシア語：9К31 Стрела-1）は、ソビエト連邦によって開発された車載型の近距離防空ミサイルシステムです。このシステムは、ミサイル弾体の9M31を使用しており、同じく有名な携帯式防空ミサイルである9K32 ストレラ-2に搭載されている9M32の姉妹機と位置づけられます。ストレラ-1は4連装発射機を備えており、これらはBRDM-2偵察戦闘車両に搭載されています。このシステムは、NATOによってSA-9 ガスキンという名前で呼ばれています。「ストレラ」はロシア語で「矢」を意味し、「ガスキン」は英語で「脛」という意味を持ちます。

来歴

9K31 ストレラ-1の開発は1960年に始まり、特に9K32 ストレラ-2と並行して進められました。第16設計局（ОКБ-16）が主導し、当初は両システムとも携行可能な規模で設計されるはずでしたが、9K32がコンパクトに完成可能と判断されたため、計画が見直されました。新たに、9K32は大隊規模の主要な自衛防空システムとし、9K31は連隊規模で既存のZSU-23-4自走対空砲と併用されることに決定しました。この方針転換により、9K31には開発の制約が少なくなり、結果としてシステムのサイズと重量が増加しました。9K31は1968年4月25日に実戦配備が宣言され、1970年12月には改良型であるストレラ-1Mも配備されました。

設計

9K31システムは、9M31ミサイルと9A31自走発射機から成ります。しばしば、9S16フラットボックス低空警戒レーダーも併用され、こちらもBRDM-2を基にした設計となっています。9M31は、9K32やアメリカのFIM-43レッドアイミサイルと同様に、赤外線ホーミング方式を採用していますが、従来の赤外線放射源を追尾するのではなく、自然環境にある背景放射を利用してその空白を追尾する独自の手法を用いています。この方法を光学コントラスト効果ホーミングと呼び、全方位の交戦能力を実現しましたが、実際には信頼性の低下を引き起こす懸念も伴います。9M31は2.6kgの高性能炸薬を搭載し、最大射程は6,500メートル、最大射高は3,500メートルを誇ります。改良型のストレラ-1Mはさらに性能が向上し、射程が8,000メートル、最大射高が6,100メートルに達します。

配備

9K31はソ連国内で自動車化狙撃兵連隊や戦車連隊の主要な防空手段として使用されました。また、9K32 ストレラ-2よりも高性能ながら、9K33 オサー短距離防空ミサイルに比べて手軽なシステムとして広く輸出されています。今日、ロシアでは新型の9K35 ストレラ-10（SA-13 ゴファー）にその地位を引き継がれています。これまでにも多くの国に配備されており、アルジェリアやインド、キューバなどで使用例があります。特にインドでは400基が運用されています。

このようにして、9K31 ストレラ-1はソビエト連邦が開発した重要な防空システムであり、今日でも多くの国でその能力が評価されています。その独自の技術と実戦的なデザインは、冷戦時代の防空戦略において重要な役割を果たしました。

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