9K35

9K35 ストレラ-10

9K35 ストレラ-10（ロシア語: 9К35 Стрела-10）は、ソビエト連邦が開発した車載型近距離防空ミサイルシステムです。NATOコードネームではSA-13 ゴファー（Gopher：ホリネズミの意）として知られています。これは防空能力を強化するための重要な兵器であり、複数の運用国で使用されています。

開発背景

ソ連陸軍では、連隊レベルでの防空力を確保するために、9K31 ストレラ-1（SA-9 ガスキン）が導入されていました。しかし、このシステムはBRDM-2を基にした装輪式のため、不整地での運用能力は装軌車両に比べて劣っており、特に機甲部隊の支援には適していませんでした。また、誘導方式も改良の余地がありました。このため、1960年代末からのニーズに応える形で9K31の後継機の開発が開始され、1977年に9K35 ストレラ-10が採用されたのです。

設計特性

9K35は、MT-LB装甲兵員輸送車に搭載された4連装発射機を核とした対空ミサイルシステムです。従来の9K31に代わって、改良型の9M37ミサイルが使用され、これには赤外線ホーミング誘導の他に、画像識別装置やテレビモニターによる誘導機能が追加されています。これにより、敵のフレアなどに対する抵抗力が強化されました。

射程は、大幅に延長され、有効射程が800mから5,000m、有効射高が10mから3,000mまで広がりました。加えて発射速度も向上させることで、より効果的な防空能力を実現しています。発射機は旧式の9M31ミサイルも発射可能です。

このシステムは、4連装発射機を装備した自走発射機が3両、誘導レーダー車と指揮車が各1両の構成で一個小隊を編成します。この小隊が各戦車連隊に配備されることで、連隊レベルの防空任務を担っています。

運用国と退役国

9K35 ストレラ-10は、現在多くの国で運用されています。例を挙げると、アルメニアは72両、ベラルーシは350両のSA-8、SA-11、SA-12、SA-13を中国とともに保有。そのほか、ロシア（350両）、インド、ウクライナ（150両）などが運用しています。退役した国としては、ポーランドやチェコスロバキアがあり、最後のポーランドの4両は2001年から2002年にかけて退役しました。

登場作品

映画『エネミーライン』では、セルビア人武装勢力がこのミサイルシステムを使用し、偵察に現れたF/A-18Fを攻撃する場面があります。このケースでは、1発が増槽の爆発によって誘爆しましたが、もう1発は機体に損傷を与え、撃墜に成功しました。

まとめ

9K35 ストレラ-10は、その高い運用能力からさまざまな国で採用されており、冷戦時代から続く防空ミサイルシステムとして、その重要性を失っていません。様々な改良が施されることで、今後も長期間にわたり使用される見込みです。

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