A級駆逐艦 (初代)

A級駆逐艦の概要

A級駆逐艦（英語: A-class destroyer）は、イギリス海軍の水雷艇駆逐艦（Torpedo Boat Destroyer, TBD）に分類される艦級です。この艦級の設計には、各造船所が携わったため、艦のタイプは非常に多様である点が特徴です。特に、初期の艦は速度基準を満たすため「27ノッター型（Twenty-seven knotter class）」と呼ばれましたが、一部の艦艇が若干の仕様の違いから「26ノッター型（Twenty-six knotter class）」とも区別されています。この艦級には1913年に正式にその名称が与えられました。

歴史的背景

19世紀後半、フランス海軍は強力な武装を持つ小型艦による攻撃を重視する戦略、いわゆる「青年学派」を展開しました。これに対抗するため、1880年代にはイギリス海軍も水雷艇を自ら撃破しつつ、敵艦への雷撃を行うための艦の開発を始めましたが、当時の設計は重すぎて求められる速力を達成できず、次第に行き詰まりました。その中で、1892年、ジョン・アーバスノット・フィッシャー提督が新たに発注した水雷艇駆逐艦が、A級駆逐艦の基礎となります。水管ボイラー技術の進歩により、軽量で高出力の艦造りが可能となり、良好な速度と武装を両立した設計が進められました。

設計の多様性

A級駆逐艦は、造船所ごとに設計が異なるため、その外観や性能は様々です。艦体の煙突の数は1本から4本まであり、艦の設計には一定の共通点がありますが、その具体的な形状には大きな違いがあります。艦首は乾舷を低くするため平甲板型であり、亀甲型の艦首設計にして波を打ち消し、効率的に艦を進水させる工夫がされました。艦の断面形状は、通常、吃水線で最も幅広く、乾舷が内傾したデザインであるタンブルホーム型が採用されています。

機関と速度

A級駆逐艦は、原則として、石炭専焼式の水管ボイラーを利用しています。この技術は1877年にアルフレッド・ヤーロウによって開発されたもので、1887年には実用化されました。しかし、各艦の速力には個体差が大きく、例えば「フェーヴェント」や「ゼファー」は26ノットに達しなかったのに対し、他の艦では27ノット以上、最速の「ボクサー」に至っては29.175ノットを記録しています。

武装

A級駆逐艦の主な武装は水雷艇を攻撃するための艦砲です。この当時のイギリス海軍は、より高い発射速度を誇る後装式速射砲を採用し、主砲には40口径7.6cmのQF 12ポンド砲を使用しました。これに加え、副砲として40口径5.7cmのQF 6ポンド砲が3門装備されました。特に、艦は水雷艇との交戦においてその撃退能力が求められました。

さらに、雷撃任務の遂行のために、18インチの魚雷発射管も2基搭載され、効率的な運用が図られました。艦燈の設置や副砲の数についても、進化を遂げながら運用されています。

同型艦一覧

この水雷艇駆逐艦は、その設計の多様性から多くの同型艦が存在し、それぞれが異なる装備や性能を持つ特徴があります。A級の進化形とも言える艦艇の数々は、その後の海軍戦力として重要な役割を果たしました。

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