A面で恋をして/さらばシベリア鉄道

シングル「A面で恋をして」と「さらばシベリア鉄道」について

1981年10月21日、ナイアガラ・トライアングル（大滝詠一、佐野元春、杉真理）からリリースされたシングル「A面で恋をして / さらばシベリア鉄道」は、彼らの通算2作目のシングルであり、音楽ファンの間で長年親しまれています。この曲は、アルバム『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』の先行シングルとして発表され、シングル用に新たにミキシングが施されました。

最初のプレス盤には、同心円の溝にマシンガン音が入れられており、価格表示がスタンプ方式になっているなど、特徴的な工夫が施されています。大滝詠一は、シングルのリリースが彼のアルバム『A LONG VACATION』の成功につながる過程について語っています。当時のプロモーションで周囲からは「恋するカレン」が推奨されていましたが、大滝は「君は天然色」をリードトラックとして選びました。プロモーションにおいても、売上の確保が鍵となり、その結果としてシングルは初登場70位を記録しました。

音楽の背景として、「A面で恋をして」のアイデアは、1975年に沢田研二へ提供した「あの娘にご用心」と関連していることが挙げられます。この曲は、後にバディ・ホリーの「ペギー・スー」からインスピレーションを受けたものとして位置づけられています。大滝は、ナイアガラの音楽スタイルと、彼自身の歌手としての成長を意識しつつ、制作に取り組みました。こうした創作活動が、特にナイアガラ・トライアングルとしての新しい形を生み出す土壌となったのです。

また、シングルにはCMタイアップがあり、これが一般の音楽チャートでの販売促進に寄与しました。CMに起用されたことにより、一時的に人気が高まりましたが、CM出演者のスキャンダルによりCMは短命に終わり、最高順位は14位にとどまりました。それでも、ナイアガラ・レーベルにおいては記録的なヒット作品となり、アルバムを強力にサポートする存在となりました。

「さらばシベリア鉄道」はB面に収録されており、こちらも大滝作詞・作曲による魅力的な楽曲となっています。音楽的な観点から見ても、ナイアガラサウンドと呼ばれるユニークな音楽スタイルが色濃く反映されており、聴く人々に強い印象を残します。

ミュージックビデオ

2022年には、このシングルのリリース40周年を記念し、「A面で恋をして」のミュージックビデオが公開されました。江口寿史が描いたイラストを用いて、1980年代の日本のポップカルチャーをオマージュした映像となっており、視覚的にも楽しませてくれる作品です。

まとめ

「A面で恋をして」と「さらばシベリア鉄道」は、ナイアガラ・トライアングルの音楽的な足跡を示す重要なシングルであり、彼らの活動の中で特別な位置付けを持っています。これらの曲は、今なお多くのファンに愛され続け、その音楽の魅力は色あせることがありません。

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