ABCセンター

ABCセンターの歴史と概要

ABCセンターは、1966年6月から2008年まで、大阪府大阪市北区大淀南2丁目に位置していた、朝日放送（ABC）の旧社屋と関連施設を含む街区全体の総称です。中核施設である朝日放送本社社屋には、4つのテレビスタジオ、4つのラジオスタジオ、公開放送用ホール「ABCホール」などが設けられていました。さらに、南側にはホテルプラザ、西側には大阪タワーが隣接しており、周辺には別館ビルや関連会社が入居するビル、ザ・シンフォニーホールなどが点在していました。

1966年、関西大倉学園の茨木市移転跡地に、中之島に分散していたテレビとラジオのスタジオを統合する形で本社社屋が竣工しました。その後、大阪タワーやホテルプラザなどの周辺施設が建設され、規模が拡大していきました。しかし、竣工当初の社屋周辺は倉庫や町工場が並ぶ不便な地域で、社屋前の道路も未舗装の状態でした。

1995年の阪神・淡路大震災では、社屋の東側と西側を結ぶ通路が地震の振動で半壊し、コンクリートが飛散するなどの被害が生じました。また、コンクリートの塊が無線制御室に落下する危険な状況もありました。

経年劣化による建物の老朽化が顕著になったため、2008年5月18日に本社機能は大阪市福島区の新社屋へ移転しました。その後、テレビ・ラジオの送出マスターも新社屋に切り替えられ、同年8月5日のABCホール閉鎖をもって、42年の歴史に幕を閉じました。新社屋移転後、ザ・シンフォニーホールを除くすべての建物は解体され、跡地は商業施設や住宅施設として再開発されました。

跡地は一時駐車場などとして利用されていましたが、2017年1月に積水ハウスなど5社が共同で跡地を取得し、高さ178mのタワーマンション「グランドメゾン新梅田タワー THE CLUB RESIDENCE」を建設しました。また、大阪府済生会中津病院の附属施設となる「大阪北リハビリテーション病院」も2023年4月1日に開院しました。

ABCセンターの歴史を振り返る番組として、2008年4月22日には「ごきげん!ブランニュ」で「さよなら大淀社屋特集」が放送されました。また、ABCセンター時代のベリカードは、旧社屋のペーパークラフトでした。

スタジオ

テレビスタジオ

Aスタジオ (HD, 190坪): 『ごきげん!ブランニュ』、『朝だ!生です旅サラダ』、『パネルクイズ アタック25』、『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』などが収録されていました。
Bスタジオ (HD, 100坪): 『おはよう朝日です』、『ムーブ!』、『ABC NEWSゆう』などが放送されていました。
Cスタジオ (SD, 100坪): 『おはようコールABC』、『虎バン』などが使用していました。
Nスタジオ (HD対応, 30坪): 『ABC NEWS』などのニュース番組で使用されました。

Aスタジオは、竣工当初からカラー放送に対応した設備が導入されており、1964年の東京オリンピックや1970年の大阪万博を見据えていました。当初はDスタジオもありました。新社屋への移転に伴い、Aスタジオで制作していた番組は順次新社屋へ移行し、Bスタジオの番組もAスタジオへ移動した後、新社屋での制作に切り替えられました。新社屋のAスタジオは2008年4月29日の環境特別番組で初めて生放送に使用され、5月には新社屋完成記念特別番組も制作されました。

ラジオスタジオ

第1スタジオ (録音用, 約140m2): 主に公開放送に使用され、全国高校野球選手権大会の校歌録音にも使用されました。
第2スタジオ (生対応): 『ABCパワフルアフタヌーン』、『ABCミュージックパラダイス』などが放送されました。
第3スタジオ (生対応): 『おはようパートナー』、『おはパソ』、『全力投球!!』、『元気イチバン!』、『ABCフレッシュアップベースボール』、『ABCミュージック21』、『もうすぐ夜明けABC』などが使用されました。
第5スタジオ (録音用): 『キングコングのほにゃらじお』などが収録されました。
ダイヤルスタジオ: 電話・FAX受付ルームとして利用されました。

かつては、主調整室のアナウンスブースで生放送が行われていましたが、放送の臨場感を伝えるためにブース外から放送する形式に変更されました。このブースは窓に面しており、外の天気などが確認できる仕様でした。

施設

ABCセンター内

ABCホール (SD, 75坪): 地下1階に位置し、600席の観客席がありました。『探偵!ナイトスクープ』、『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』などの番組収録や、映画試写会などが開催されました。大淀のABCホールは2代目であり、初代は中之島にありました。3代目のABCホールは福島新社屋に建設されました。ABC祭り 歌謡パレードというイベントも開催されました。
大阪タワー: 朝日放送の電波塔であり、ラジオやテレビの送信所への中継電波を送信する役割を担っていました。地上102メートルには2層の展望台がありましたが、老朽化のため1998年に閉鎖され、2009年に解体されました。
スカイスタジオ: 大阪タワー展望室2階に設けられたスタジオで、ガラス張りで景色が背景になるユニークなスタジオでした。しかし、大阪タワーの老朽化に伴い1998年に閉鎖されました。
ホテルプラザ: 1999年に閉鎖されました。跡地にはIDC大塚家具梅田ショールームがありましたが、こちらも2010年に閉鎖され、解体されました。
ABCポケットパーク: 旧社屋とIDC大塚家具梅田ショールームの間にある広場です。『おはよう朝日です』のお天気コーナーで中継に使用され、広場には番組PRポスターが掲示されていました。
ザ・シンフォニーホール: 日本初のクラシックコンサート専用ホールとして1982年に開館しました。音響の良さで高い評価を受けており、閉鎖・解体の対象外となり存続しましたが、2012年に学校法人滋慶学園グループに譲渡されました。
ABC公園: 旧社屋北側に位置し、番組のロケ地として利用されましたが、2004年に売却され、高層マンションが建設されました。
日産大阪ギャラリー: 旧社屋1階にありましたが、早期に閉鎖され、ABCのオフィスとして利用されました。阪神・淡路大震災で外側のガラスが破損しました。

ABCセンター外

ABCエキスタ: 大阪駅のアクティ大阪内にあったサテライトスタジオで、1997年に閉鎖されました。
ABCアドベンチャーホール: 和歌山マリーナシティ内にある特撮・アニメーション作品のキャラクターショー専用ステージです。

受賞歴

第9回BCS[[賞]]（1968年）: 本社ビル、大阪タワー
第12回BCS[[賞]]（1971年）: ホテルプラザ
第25回BCS[[賞]]（1984年）: ザ・シンフォニーホール

幻の新社屋構想

1991年に社屋用地の再開発試案が発表されましたが、資金問題やデジタル放送準備のため白紙となりました。

交通アクセス

ABCセンターが存在していた当時は、JR大阪駅から徒歩15分、大阪環状線福島駅や阪神本線福島駅から徒歩7分、JR東西線新福島駅から徒歩9分でした。また、大阪駅北口から阪急バスで「大淀南一丁目」下車すぐでした。阪急バスは2020年7月19日に廃止されました。

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