AGS 155mm砲

155mm先進砲システム（AGS）

155mm先進砲システム（英語: Advanced Gun System, AGS）は、アメリカが海軍の戦力を強化するために開発した独自の艦砲です。これにより、現代の戦闘環境での火力支援能力が大幅に向上しました。この艦砲は、特に水陸両用作戦における効果的な支援を目的として設計されています。

背景

1991年にアメリカ海軍は、冷戦の終結後の新たな軍事戦略として「フロム・ザ・シー」と題される白書を発表しました。この文書は、海上作戦の焦点を外洋から沿海域に移行することを目指しており、新しい艦船の開発が必要とされました。これに応じて、1990年代にはSC-21（Surface Combatant for 21st Century）計画が展開され、その中で水上戦闘艦の火力支援能力が重視されるようになりました。

当時、アメリカ海軍は従来の中口径艦砲であるMk.45 5インチ単装砲しか持っておらず、それが持つ射程や威力には限界がありました。そのため、アメリカ海兵隊はAGSにおいてM198 155mm榴弾砲と同等の威力を求め、射程も41海里（約76km）以上を求めました。それを受けて、AGの開発が始まりました。

設計と特徴

AGSの初期計画では、砲身が甲板下に固定されている設計が考案されました。しかし、1999年に計画が見直され、従来の砲弾も使用できる旋回砲架に変更されました。この設計において砲楯は、可動式の砲架と固定式の砲身格納部から構成され、使用時には砲身が露出し、非使用時には完全に格納されることでステルス性を保持します。

AGSは62口径長の砲身を持ち、水冷方式で冷却されます。砲身の設計もステルスを考慮しつつ、従来の円筒形が採用されています。弾薬の装填は完全自動化されていて、砲塔下の弾薬庫には弾薬箱がストックされ、実効射撃を可能にしています。全ての動力は電動であり、800キロワットの電力が必要です。

射撃性能

主な弾薬として、誘導が可能な砲弾に対応しており、特にGPS/INS誘導の長射程対地攻撃弾（LRLAP）が計画されていました。この弾薬は最大で185kmの射程を持ち、平均誤差半径20-50メートルという精度を誇ります。しかし、価格上昇の問題からLRLAPの採用はキャンセルされ、他の弾薬の可能性も模索されています。

さらに、AGSは対艦攻撃用のミリ波誘導砲弾や、無誘導砲弾（最大射程44kmのBLRP）についての構想も存在しましたが、その後開発が中止されたものもあります。SC-21計画に基づくズムウォルト級駆逐艦には、艦首に2門のAGSが搭載され、Mk.45に代わる軽量タイプのAGSライトも開発されています。これにより、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦にも搭載できるようになっています。

まとめ

155mm先進砲システム（AGS）は、近代の海上戦闘において海兵隊と海軍の火力支援を大きく向上させるために開発されました。このシステムは、革新的な設計や高性能な射撃能力により、現代戦の要求に応える重要な役割を果たしています。

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