ALL APOLOGIES

『ALL APOLOGIES』は、2006年5月10日にユニバーサルミュージック傘下のユニバーサルJから発売された、アメリカ合衆国のロックバンド、ニルヴァーナに捧げられたトリビュート・アルバムです。規格品番はUPCH-1489となっており、この作品は日本国内のみでリリースされた点が特筆されます。

この企画は、音楽雑誌『ROCKIN'ON JAPAN』の編集長を務める山崎洋一郎氏の発案により実現しました。ニルヴァーナという偉大なバンドが日本の音楽シーンに与えた影響に着目し、日本の様々なジャンルで活躍するミュージシャンが、彼らの楽曲をどのように解釈し表現するかをコンセプトに制作されました。そのため、アルバムに参加しているアーティストは全て日本のミュージシャンであり、それぞれの独自の音楽スタイルでニルヴァーナの楽曲に新たな光を当てています。

アルバムには合計13曲のカバー音源が収録されています。選曲はニルヴァーナの主要なオリジナル・アルバムやコンピレーション、シングルといった幅広い年代の作品から行われています。

ニルヴァーナの後期を代表するアルバム『イン・ユーテロ』からは、以下5曲が選ばれました。アルバムタイトル曲でもある「All Apologies」はランクヘッドが、荒々しい「Very Ape」はMO'SOME TONEBENDERが、センセーショナルな「Rape Me」はdetroit7が、異質な雰囲気を放つ「Scentless Apprentice」は髭（HiGE）が、そして内省的な「Pennyroyal Tea」はDr.StrangeLoveがそれぞれ独自の解釈でカバーしています。『イン・ユーテロ』特有の生々しさや実験性が、各アーティストによって表現されています。

世界的な大ヒットとなったアルバム『ネヴァーマインド』からは、最多の5曲が収録されています。バンドの代名詞とも言える「Smells Like Teen Spirit」はB-DASHが、静謐な魅力を持つアコースティック曲「Polly」は吉井和哉が、衝動的なエネルギーを持つ「Territorial Pissings」はKING BROTHERSが、グランジを代表する一曲「Lithium」はTHE SALINGERが、そしてヘヴィなリフが特徴の「Breed」は音速ラインがカバーしています。これらの楽曲を通じて、『ネヴァーマインド』が持つ多様なサウンドを日本のミュージシャンが表現しています。

その他の作品からの選曲として、コンピレーション・アルバム『インセスティサイド』に収録されていた、ヴァセリンズのカバーである「Molly's Lips」は蝉時雨が、そしてシングルとしてもリリースされ人気の高い「About A Girl」はART-SCHOOLが、ニルヴァーナの初期作品である『ブリーチ』に収められた「Blew」は雅-miyavi-がそれぞれ担当しています。これらの選曲は、ニルヴァーナの音楽性の広がりを示すものと言えるでしょう。

『ALL APOLOGIES』は、ニルヴァーナの楽曲が日本の音楽シーンに深く浸透していることを示す証であると同時に、参加した日本のアーティストたちが、偉大な先人へのリスペクトを込めて、それぞれの音楽性を存分に発揮した意義深いトリビュート・アルバムとなっています。

本作品に関するより詳細な情報は、ユニバーサルミュージックによる公式ページにてご確認いただけます。

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