ALL.Net

ALL.Net (オールネット)とは

ALL.Netは、株式会社セガ（旧セガ・インタラクティブ、セガ・フェイブ）が提供するアーケードゲーム向けのネットワークサービスです。このサービスは、アーケードゲーム機をインターネットに接続することで、オンライン対戦、全国ランキング、プレイデータの保存といった機能を提供します。NTT-MEがネットワーク構築を担当し、セガが展開するアーケードゲーム用ICカード「Aime」と、バンダイナムコアミューズメントが展開する「バンダイナムコパスポート（旧バナパスポート）」も本サービス内で取り扱っています。

概要

ALL.Netは、「Amusement Linkage Live Network」の略称で、セガグループの登録商標です。その起源は、1990年代後半の『バーチャファイター4』と同時にリリースされた「VF.NET」に遡ります。当初はISDN回線を利用していましたが、後に光回線へと移行し、大容量のデータ通信を実現しました。これにより、『三国志大戦』のようなリアルタイム対戦ゲームが実現可能となりました。

ISDN回線によるサービスは2015年6月30日に終了し、以降は光回線のみとなっています。一部地域では通信品質の悪化が見られたため、回線事業者と調整し、IPv6 IPoE (+ IPv4 over IPv6) への変更を行いました。

当初はセガとバンダイナムコアミューズメントのゲームのみが対象でしたが、2015年6月からはカプコンの一部アーケードゲームや韓国アンダミロ社の『Pump It Up』シリーズも導入されました。当初は日本国内限定のサービスでしたが、2008年には香港で実証実験を行い、2010年から2015年にかけては『三国志大戦』が香港、シンガポール、台湾、中国、韓国とのネットワーク対戦を可能にしていました。現在では、多くのゲームがこれらの地域に加えて、タイ、マレーシア、インドネシアとも接続されています。

また、コナミアミューズメントと共同で提供するマルチ電子マネーサービスでも、コナミのe-AMUSEMENTと共にALL.Netが使用されています。一方、サミーが開始した「AW-NET」は、ALL.Netとは異なり、セガへのゲーム事業移管後も個別に運営され、後にサービスが終了しました。

サービス内容

ALL.Netのサービスは、ネットワーク接続されたゲーム筐体やICカードの使用を必要とするものなど、複数の種類に分かれます。筐体側では電子マネー対応の携帯電話（おサイフケータイ）に対応しており、「FeliCa」技術が利用されています。これは、Suicaや楽天EdyなどのICカードが反応しない、e-AMUSEMENT PASSとの違いです。2018年10月25日には、『Aime』『バンダイナムコパスポート』『e-AMUSEMENT PASS』の仕様を統一した新カードが発売されました。

ゲームそのものに対するサービス

各ゲームのオンラインアップデート
オンライン対戦型ゲームでのマッチング

これらのサービスは、ネットワークに接続された筐体に提供されます。ゲームセンターの運営者は、これらのサービス利用料として、1プレイごとにシステム使用料を支払います。また、月額固定料金制のタイトルもあります。

オンラインアップデートは毎日7:00に行われ、アップデート中はゲームプレイができないタイトルもあります。従量料金制の場合、メンテナンスやサーバー障害で通信が遮断された場合は、その時間帯の料金は発生しません。過去には、タイトル不具合により、一部ゲームでシステム使用料を過請求した事例があり、セガは過請求分の返金を行いました。

従量料金制のため、不人気作やピークを過ぎたタイトルは、プレイ料金の値下げが難しく、撤去されることが多いです。ネットワークサービス終了が発表されたタイトルは、発表日以降、解約手数料は発生しません。サービス終了後、オフライン化されたタイトルは筐体とALL.Netルーターの接続を切り、設定変更が必要です。オンライン専用のタイトルは、サービス終了とともに撤去されます。オペレーター向けサポートは、セガ・ロジスティクスサービスとバンダイナムコテクニカが担当し、セガはネットワークサービス終了から1年以内の修理サポートを終了しています。

カードに対するサービス

磁気カードまたはICカードを利用することで、プレイヤーには以下の特典が付与されます。

プレイデータの保存
各種ランキングへの参加

メダルゲームでは、「メダルバンク」と連携することで、ICカードを登録してメダルをクレジットとして利用できます。データ保存の概念がないメダルバンク連携のみのICカード使用もあります。当初はゲームごとにカードが発売されていましたが、後に1枚のカードで複数の作品に対応できるようになりました。

初期のカードはデータがカードに直接書き込まれるため、ネットワークに接続されていない場合でもプレイデータを保存できました。しかし、書き込み回数に制限があり、磁気カードでは約50回、ICカードでは100〜500回程度でした。多くのゲームでは、データ引き継ぎに対応しています。

2010年以降は、カードをかざすタイプのカードリーダーが登場し、カードへの書き込みではなくサーバーにデータを保存する方式に変わりました。これにより、カードの利用回数制限がなくなり、複数ゲーム間でのカード相互利用が可能になりました。また、おサイフケータイでのデータ保存も可能となりましたが、電子マネー決済には非対応です。

セガとバンダイナムコアミューズメントは、2010年以降、それぞれ独立したデータ一元管理システムを運用しており、2011年11月1日より相互利用を開始しました。

一元管理システム

Aime

セガは2010年11月から『戦国大戦』を皮切りに、ICカードやおサイフケータイでのゲームデータ一元管理システム『Aime』（アイミー）を本格的に開始しました。Aimeカードや対応するおサイフケータイでゲームデータを一括保存し、専用サイトでデータ閲覧・管理、サービス利用、データ移行が可能です。2011年11月1日からは『バナパスポートカード』との相互利用サービスを開始しました。

Aime対応のカードリーダーにはフルカラーLEDが搭載されていますが、一部の筐体ではLEDが搭載されていません。ALLS基板を採用したタイトルは、電子マネー対応のメッセージ表示機能付きカードリーダーを搭載しています。

『MJ4 Evolution』の『MJメンバーズカード』や『初音ミク Project Diva Arcade』のアクセスカードもAimeカードと同じ機能を持っており、Aime対応ゲームに使用できます。『REC CHECK GOLF』のオンラインサービスは終了しましたが、REC会員カードはAime対応ゲームで使用可能です。

STARHORSEシリーズでは、Aimeとメダルバンクを店舗ごとにローカルで結びつけることが可能です。STARHORSE4ではMESTAバンクとAimeを関連付け、SEGA ID上の公式ウェブサイトからAimeの引っ越しを行う必要があります。Aimeサービスサイトは、以前はAimeユーザーIDでもログインできましたが、2017年10月18日以降はSEGA IDが登録されたカードのみが利用可能となりました。

バンダイナムコパスポート

バンダイナムコアミューズメントが運営する『バンダイナムコパスポート』（旧バナパスポート）は、ICカードやおサイフケータイでゲームデータを一元管理するシステムです。Aimeと同様に、共通デザインのカードや対応おサイフケータイでデータを一括保存し、専用サイトで管理できます。2011年11月1日よりAimeとの相互利用サービスを開始しました。

バンダイナムコパスポートサイトに登録できるカードは最大3つまでで、ゲームによってはデータ保存に制限があります。対応タイトルはビデオゲームやメダルゲームだけでなく、キッズライド機やプリントシール機にも拡大しています。2022年6月1日以降、おサイフケータイへの対応は終了しています。

Amusement IC

2018年2月9日、セガ、バンダイナムコ、コナミアミューズメントの3社は、アーケードゲーム用ICカードの仕様を統一することに合意しました。2018年10月25日からは、3社の仕様を統一した「アミューズメントICカード」が発売されました。

Amusement IC対応カードには「Amusement IC」マークが入り、AimeやバナパスポートカードもAmusement IC対応の2代目となりました。これにより、コナミアミューズメントの一部アーケードゲームにも対応し、「Amusement IC」マーク入りのe-AMUSEMENT PASSとの相互利用が可能になりました。2019年3月にはタイトーのNESiCAもAmusement ICに対応し、4社のアーケードゲーム用ICカードが統一される予定です。初代カードは、コナミアミューズメントやタイトーのタイトルでは使用できず、2代目カードはセガとバンダイナムコアミューズメントの一部のタイトルで使用できない場合があります。

共通事項

セガのタイトルでは、カード認証待機中は白点滅または白点灯、認証成功時は青点灯、認証エラー時は赤点滅、条件が整わない場合は黄色点灯となります。バンダイナムコアミューズメントのタイトルでは、認証待機中は青フェード点滅、認証成功時は緑点灯、認証エラー時は赤点灯、青点灯時は認証されません。

Amusement IC非対応タイトルでは、2代目カードやe-amusement passは使用できず、初代カードを継続して使用します。カードの購入は基本的に対応ゲーム設置店舗で可能ですが、一部店舗ではバナパスポートカードの取り扱いがない場合があります。カードの紛失や破損時のデータ移行には、各サービスサイトへの登録が必要です。カードの譲渡は禁止されており、ネットオークションでの購入に関するトラブルには責任を負いません。

2010年3月発行の『ミクの日感謝祭39's GivingDay特製ICカード』は、『バナパスポートカード』との相互利用に完全対応しておらず、一部の携帯電話も『Aime』『バナパスポートカード』として使用できない機種があります。

ALL.Net P-ras

「ALL.Net P-ras」（オールネット プラス）は、レベニューシェア方式を採用したゲーム供給形態です。対応ゲームは販売されず、全てレンタルとなり、プレイ回数に応じて使用料金が発生します。店舗は新機種を安価に導入でき、セガは継続的な収入を得られます。しかし、プレイ料金を下げると店舗の収入が減少するため、値下げ施策が取りづらいというデメリットもあります。

ALL.Net P-ras MULTI

「ALL.Net P-ras MULTI」は、セガ以外のメーカー製タイトルにも対応したレベニューシェアモデルです。対応ハードを購入し、ソフトはDVD-ROMで提供されます。Ver.2では、ゲームソフトがダウンロード配信となり、1台のハードで最大10本のタイトルセレクトが可能になりました。一部タイトルはAimeカードに対応しています。

ALL.Net P-ras MULTI Ver.3

2019年4月18日に稼働開始したVer.3では、新筐体を採用し、イヤホンジャック、USB端子、タッチパネルが追加されました。システム基板もALLS UXに変更され、ICカードリーダーは電子マネーにも対応しています。稼働開始時には『GUILTY GEAR Xrd REV2 APM3Edition』、『ぷよぷよeスポーツ アーケード』が配信されました。

他社の類似システム

バンダイナムコエンターテインメントもALL.Netを利用したレンタルシステムを採用し、コナミアミューズメントは「e-AMUSEMENT Participation」、タイトーは「NESiCAxLive」を展開しています。アークシステムワークスの『BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE』はALL.Net P-ras MULTI Ver.3とNESiCAxLive2の両プラットフォームで採用されています。

対応ゲーム

ALL.Net P-ras MULTI対応ゲーム、Amusement IC対応・非対応ゲーム、ネットワークサービスが終了したゲームなどのリストがあります。

その他

ALL.Netモバイル、コンテンツ配信などの情報も記載されています。

脚注

詳細については、外部リンクを参照してください。

ALL.Net情報ページ - セガ・ロジスティクスサービス
バンダイナムコテクニカサポート - バンダイナムコテクニカ
ALL.Net P-ras MULTI - セガ フェイブ
ALL.Netサービス対応店舗検索 - セガ フェイブ
対応サービス - バンダイナムコアミューズメント
Aimeサービスサイト - セガ フェイブ
* バンダイナムコパスポート - バンダイナムコアミューズメント

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