AM (航空機)

AMモーラー（Martin AM Mauler）

AMモーラーは、アメリカのマーティン社によって開発され、アメリカ海軍で運用された艦上攻撃機です。愛称の「モーラー」は、スラングで「拳」を意味しており、もともとはBTMモーラーという名称で開発されていました。

概要

この機体の設計は第二次世界大戦中に始まり、改名後も多くの課題に直面しました。その結果、生産が開始されたのは戦後になってからで、最終的に151機が製造されました。しかし、より小型で簡素な設計のADスカイレイダーの方が性能面で優れていることが判明し、AMモーラーの運用期間は非常に短命でした。1950年には現役部隊から退役し、1953年までには予備部隊からも撤退しました。

設計と開発

1930年代から1940年代初期にかけて、海軍の爆撃機は雷撃機と急降下爆撃機に分かれていましたが、1943年にはこの分類が不要になることが明らかとなりました。新たに海軍が求めたのは、単座型の多目的爆撃機であり、設計契約は1944年に結ばれました。

AMモーラーは、プラット・アンド・ホイットニー社のR-4360ワスプ・メジャーという巨大な28気筒エンジンを搭載することを決定し、これにより機体のサイズがかつてないほど大きくなりました。この強力なエンジンのトルクは操縦を難しくしたため、機体は右に2度傾けて設置され、油圧サーボを用いて操縦しやすくされました。

1944年 8月26日に初飛行を行い、1945年1月15日には750機の量産が発注されました。しかし、量産が完了したのは1946年12月であり、その時にはすでにダグラスA-1スカイレイダーが就役していました。最終的に生産されたのは149機であり、名称も1946年にAMに変更されました。

運用歴

AMモーラーは1948年 3月にVA-17Aより部隊配備が開始されましたが、尾部の着艦フックによる損傷が問題となり、運用開始が遅れました。海軍が攻撃機の分類を見直した結果、機体はAM-1と呼ばれるように変わりました。爆弾の搭載能力は非常に高く、一度に2,200ポンドの魚雷3本や、500ポンドの爆弾12発を搭載することが可能でした。このペイロードは当時の単発機では最高記録となりました。ただし、着艦が難しいという評判により「恐るべきモンスター」とあだ名を付けられましたが、パイロットたちはその性能に高い評価を与え「有能なメイベル」とも呼んでいました。

しかし、ライバル機であるAD スカイレイダーは小型で信頼性が高く、着艦や運用が容易だったため、多くのパイロットに支持されました。結果として、1950年にAMモーラーは陸上基地のみの運用に限られることとなり、同年中に現役から引退しましたが、予備部隊では1953年まで使用されました。

今日では、AMモーラーは数機が残存しており、特にペイロード記録を保持した機体はフロリダ州の国立海軍航空博物館で保存されています。また、かつて記念空軍に属していた機体は1980年代まで飛行可能だったとされています。

各型

- XBTM-1: 試作型、2機。
- AM-1: 量産型、149機。
- AM-1Q: 電子戦機器を装備した複座型、6機改装。
- JR2M-1: 艦上輸送機型として提案。

使用者

- アメリカ合衆国
- アメリカ海軍 - VA-84、VA-85、VA-44、VA-45、VA-174、VA-673、VA-703、VA-735

要目 (AM-1)

- 乗員: 1
- 全長: 41 ft 2 in (12.55 m)
- 全幅: 50 ft 0 in (15.24 m)
- 全高: 16 ft 10 in (5.13 m)
- 翼面積: 196 ft² (46.1 m²)
- 空虚重量: 14,500 lb (6,557 kg)
- 全備重量: 23,386 lb (10,608 kg)
- 最大離陸重量: 23,387 lb (10,608 kg)
- エンジン: R-4360ワスプ・メジャー空冷4重星型エンジン 3,000 hp ×1
- 最高速度: 376 mph (591 km/h)
- 航続距離: 1,800マイル (2,885 km)
- 上昇限度: 30,500 ft (9,296 m)
- 武装: 20 mm機関砲4門、爆弾等10,698 lb (4,848 kg)

現存する機体

モーラーの現存機体は数機あり、特に超過積載の記録を持つ機体が博物館に保存されています。

AM (航空機)

AMモーラー（Martin AM Mauler）

概要

設計と開発

運用歴

各型

使用者

要目 (AM-1)

現存する機体

関連項目