AML装甲車

AML装甲車の概要と特徴

AML装甲車（フランス語：l'AutoMitrailleuse Légère）は、フランスのパナール社によって設計された四輪の装輪装甲車または偵察戦闘車です。その社内コードはAML 245で、高い機動性を有し、AML 60およびAML 90は迅速な偵察行動や火力支援を実施する能力が評価されています。また、高性能な無線機や暗視装置を装備することができ、夜間作戦においても優れた能力を発揮します。

開発の背景と経緯

1950年代、フランス軍は英国製のフェレット装甲車を使用していましたが、その武装は機関銃1丁に限られており、偵察任務には不十分でした。このため、独自に偵察用の装甲車を開発する決定が下され、1960年にパナール社がAML装甲車の開発をスタートしました。 AML装甲車はフランス軍に制式採用され、さらに30ヶ国以上で4,000両以上が輸出され、大きな成功を収めました。また、南アフリカではEland 60/90として1,300両がライセンス生産されています。

フランス軍では、EBR装甲車と比較して軽量で小型であることから、空挺部隊や山岳部隊、さらに海外の駐屯部隊に配備されました。しかし、1970年代末からは新しいERC 90 Sagaieの投入に伴い、AML装甲車は徐々に退役していきました。

様々な派生型

AML装甲車には多数の派生型が存在し、それぞれ主に武装の違いが見られますが、基本となる車体の構成は共通しています。前部に操縦士、砲塔には車長と砲手が乗り込み、左右には昇降用ドア、後部にはエンジンが搭載されています。以下に代表的な派生型の特徴を挙げます。

• - AML 60: 60mm迫撃砲と2挺の7.62mm機関銃を装備。
• - AML 90: 主武装として90mmカノン砲を搭載。
• - Eland 60/90: 南アフリカで製造されたAMLの派生型。
• - AML 20: 60mm迫撃砲を20mm機関砲に換装した新しい派生型。

また、AML装甲車の車体を基にしたパナールM3装甲兵員輸送車もあり、このモデルはAMLと共通部品が95%を占めるため、維持費用の削減や整備性の向上に寄与しました。

実戦への投入

AML 60と90は、様々な戦争や地域紛争で使用されました。ポルトガルの植民地での独立戦争や、ローデシア紛争、アンゴラ内戦、西サハラ問題や第三次中東戦争など、多岐にわたる地域で見られました。特にフランス軍はチャド内戦やレバノン内戦の際にもこの装甲車を用いています。

文化的な登場

AML装甲車は映画やアニメなどのメディアにも登場しています。映画『ジャッカルの日』では、実際のパレードでAML 60が参加しているシーンがあり、アニメ『KILLER APE』では敵勢力の装備の一部として描かれています。このような事例は、AML装甲車がただの軍事装備としてだけでなく、文化の中でも認知されていることを示しています。

結論

AML装甲車はその優れた機動性と多用な武装、そして広範な運用国を持つことから、冷戦期の偵察戦闘車の代表的存在となりました。多くの国での導入と運用、また派生型の豊富さは、その設計の優秀さを裏付けています。今後もその残した影響は続いていくことでしょう。

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