APS水中銃

APS水中銃：特殊任務に特化した水中銃

APS水中銃（Avtomat Podvodnyy Spetsialnyy）は、1960年代にソビエト連邦で開発された特殊作戦用の銃です。この武器は、ロシアのキリモフにあるTsNIITochMashで設計され、アクアラングなどの水中作戦を行う特殊部隊向けに開発されました。その特徴的な構造は、水中での高い操作性を可能にしています。

開発の背景と特徴

APS水中銃は、設計者のヴラジーミル・シモノフによって生み出され、弾薬はピオトル・サゾノフとオレグ・ラフチェンコの手によるものです。この銃の設計では、作動部分にかかる水圧を軽減するため、レシーバーの前後に大きな水抜き穴が開けられています。装弾数は26発で、標準的なアサルトライフルと同様にセミオートモードとフルオートモードの切り替えが可能です。

この銃は1960年代に開発されましたが、長い間その存在は秘匿されており、ソ連は他国に対して提供しませんでした。また、北朝鮮の工作員がこの武器を密輸しようとした際にKGBに逮捕されるという事件もありました。西側諸国にその存在が知られることとなったのは1989年のマルタ会談の際で、そこでの警備任務を遂行していた特殊部隊（スペツナズ）がこの銃を装備していたことで、ようやくその存在が公式に確認されました。

最近では、APS水中銃の海外への輸出も進んでおり、さまざまな国で使用されています。

弾薬の特性

APS水中銃では、MPS弾と呼ばれる特別な弾薬を使用します。この弾薬の弾頭は長さ約11.5cmの細長い針状で、スチール製です。水中での射撃を考慮したこのデザインは、銃身内で弾頭が長く留まる水中銃の特性によるもので、ライフリングを有することで安定した発射が可能な通常の銃との違いがあります。APSの内部にはライフリングが施されていないため、独自の形状を持つ弾薬によって直進安定性が確保されています。ただし、この弾薬は陸上でも使用できるものの、射撃精度は水中での使用に比べ劣ってしまいます。

精度を向上させるため、日没後や夜明け前の暗い条件で使用される際には、弾道確認のための曳光弾も装備されています。

メディアへの登場

APS水中銃は、映画や小説、ゲームなど、さまざまなメディアに登場しています。映画『亡国のイージス」では、北朝鮮の工作員がこの銃を使用して敵を攻撃するシーンが描かれています。また、漫画『太陽の黙示録』や『ブラック・ラグーン』でもこの銃が登場し、リアルな水中戦闘の情景を演出しています。

ゲームにもこの兵器は実装されており、『コール オブ デューティ ゴースト』などのタイトルではプレイヤーが使用可能です。

結論

APS水中銃は、その独自の設計と優れた水中戦闘能力により、特殊作戦における重要な武器となっています。開発から現在に至るまで、その存在は興味深い歴史を持っており、多くの作品に影響を与えています。今後も新しい情報が出てくることでしょう。

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