ASIAN DREAMER

アルバム概要

『ASIAN DREAMER』（アジアン・ドリーマー）は、日本の著名なフュージョンバンド、カシオペアによって制作された通算27枚目のスタジオ・アルバムとして、ファンに届けられました。この作品は、彼らがポニーキャニオンへとレコード会社を移籍してから最初にリリースしたアルバムという点で、バンドの歴史においても重要な位置を占めています。

アルバムの核を成すのは、カシオペアがかつてアルファレコードに在籍していた黄金期に発表された楽曲群のセルフカヴァーです。当時のメンバー編成によって、往年の名曲たちが新たなアレンジと演奏で蘇り、時を経て変化したバンドの音楽性がどのように楽曲に反映されているかを感じ取れる内容となっています。これは単なる過去の焼き直しではなく、長年の活動を経て円熟味を増したカシオペアが、自身のルーツと向き合いながらも未来への一歩を踏み出す意欲的な試みと言えるでしょう。

特筆すべき楽曲

本アルバムは2枚組の構成となっており、Disc2の10曲目に配されたタイトルチューン「Asian Dreamer」は特に注目すべき楽曲です。この曲は、元々はライブLD『CASIOPEA PERFECT LIVE』の初回予約購入者特典として付属したEPレコードにのみ収録されていた希少な音源でした。

オリジナルの音源は、野呂一生（ギター）、向谷実（キーボード）、櫻井哲夫（ベース）、神保彰（ドラム）という、ファンにとって最も馴染み深いメンバー構成によって演奏されたものです。このバージョンは、1999年6月23日に発売されたベスト・アルバム『Best Selection』（品番：PICL-1185）にて、初めてアルバムとして正規に収録されました。今回の『ASIAN DREAMER』に収録されたバージョンは、アルバム発表時のメンバーによる演奏であり、同じ楽曲ながらも異なる時代のカシオペアのサウンドを比較して楽しむことができます。

参加ミュージシャン

このアルバムの制作に際して、カシオペアのメンバーとして以下の4名が参加しています。

野呂一生 — ギター：バンドのリーダーであり、多くの楽曲の作曲を手掛ける中心人物。
向谷実 — キーボード：カシオペアサウンドに欠かせない華やかなシンセサイザープレイを披露。
鳴瀬喜博 — ベース：テクニカルかつパワフルなベースラインでバンドのボトムを支える。
熊谷徳明 — ドラム：正確無比でダイナミックなドラミングでリズムを構築。

この時期のメンバーによる演奏は、バンドの安定したグルーヴと、各プレイヤーの高度な技術が融合した、完成度の高いパフォーマンスとなっています。

制作スタッフ

本作のクオリティは、参加した制作スタッフの貢献によるところも大きいと言えます。サウンド・プロデューサーとしては、メンバー自身であるカシオペアの名前がクレジットされており、バンド自身が作品全体の方向性を決定していることが伺えます。エグゼクティブ・プロデューサーには水谷義昭氏、Yuzo Watanabe氏が名を連ねています。

レコーディング・ディレクションは野城俊幸氏が担当。レコーディング及びミックス・エンジニアは杉森浩二氏が務め、志村広行氏もレコーディング・エンジニアとして参加しています。最終的なマスタリングは、数多くの名盤を手掛けてきた小鐵徹氏が担当し、作品全体のサウンドを高品質に仕上げています。これらの主要スタッフに加え、Kenji Igarashi氏、山口忠氏、柳沢真史氏がアシスタント・エンジニアとして制作を支えました。

また、楽器のサウンドを最適化するテクニシャンとして堀内靖氏、Hiroyuki Yamada氏、Yoshiki Murayama氏が、アルバムの視覚的なイメージを構築するアートディレクション、デザイン、写真撮影、ヘアメイク、スタイリングといった多岐にわたる分野で専門家たちが関わっており、アルバム『ASIAN DREAMER』が総合芸術作品として制作されたことが分かります。

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