AX (アニメ雑誌)

AX：アニメ雑誌の歴史

AXは、1998年3月に創刊されたアニメ雑誌であり、当初はソニー・マガジンズ（現在のエムオン・エンタテインメント）によって発行されていました。創刊号は、同年の4月号として登場し、アニメとその周辺の情報を幅広く取り扱い、多くのファンに支持されました。特筆すべきは、創刊当初からアニメブームに乗ったことであり、『新世紀エヴァンゲリオン』や『もののけ姫』といった名作が人々の心をつかんでいた時期に、AXが市場に登場したことは大きな話題となりました。

AXは、同じ時期に刊行されていた青林工藝舎の人気漫画雑誌『アックス』とは関連がない点も記憶に留めておく必要があります。創刊号の価格は520円という手頃なもので、人気ライバル雑誌『アニメージュ』の620円や『ニュータイプ』の530円に比べ、非常にリーズナブルでした。この価格設定は、特に若いファンにとって魅力的であり、創刊号の表紙にはアニメ『機動戦艦ナデシコ』の人気キャラクターであるホシノ・ルリが描かれたことで、店頭では瞬く間に売り切れる事態となりました。

内容においては、AXはその先駆けとして『ニュータイプ』と同様、グラビアを重視した編集方針を採用しました。このため、見た目やスタイルが『ニュータイプ』に似ているとの声も多く聞かれました。

AXはソニーグループのメディアミックス戦略の一端を担っており、アニメ部門やゲーム部門を持つ同社とのコラボレーションを通じて、多様な情報を提供していました。同誌で連載されていた『Serial experiments lain』は、アニメ版が第二回文化庁メディア芸術祭のアニメーション部門で優秀賞を受賞するなど、その内容は高く評価されました。また、2000年3月からはソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが出資するアニメ専門チャンネル「アニマックス」で、『AX情報局』という情報番組を月に1回放送し、編集長が出演するなど、メディアとしての影響力も発揮していました。

さらに、AXはアニメ雑誌の中でもいち早くCD-ROMやDVDを付録に採用したことでも知られています。2000年ごろからは定価を880円に変更し、アニメやゲームのプロモーション映像、オリジナル企画のインタビューやイベントレポートを収録したDVDを毎月付録として提供し、読者の関心を集めました。このような革新的な試みを通じて、AXはアニメ雑誌市場において独自の地位を築いていました。

編集長には、学研のOVA専門誌『アニメV』の副編集長であった水間英樹が就任し、編集にはアニメ関連の編集プロダクション「スタジオハード」が参加していました。これにより、質の高いコンテンツを提供し、業界内外からの評価を得ることができました。しかし、2001年にソニー・マガジンズがコミック事業から撤退することとなり、同年10月号をもってAXは休刊。通巻44号という短い歴史の中でも、多くのアニメファンに愛され続けた雑誌として、その存在は今なお語り継がれています。

脚注

• - AXが影響を与えたアニメブームの重要性
• - メディアミックスの先駆けとしての役割
• - 人気作品とのコラボレーション

関連項目

• - ヴィレッジブックス
• - リスアニ!

もう一度検索