AYA世代

AYA世代（思春期・若年成人）のがん：特徴、種類、治療、妊孕性への影響

AYA世代（Adolescents and Young Adults）とは、思春期・若年成人世代を指し、一般的に15歳から39歳までのがん患者を指す言葉として使われます。この世代のがんは、小児がんや高齢者のがんとは異なる特徴を持ち、治療やその後の生活にも特有の課題があります。

AYA世代のがんの定義と現状

AYA世代のがんは、15歳から39歳までに診断されるがんを指します。日本では、AYA世代（15歳から29歳）の悪性新生物による死亡数は、年間約700人で、自殺や不慮の事故に次ぐ死因となっています。

AYA世代のがん患者は、治療だけでなく、学業や仕事、恋愛、結婚、出産など、ライフステージにおける様々な問題に直面します。そのため、医療的なサポートだけでなく、心理的なサポートや社会的なサポートも重要となります。

AYA世代のがんは、国や地域によって定義が異なる場合があります。例えば、ヨーロッパやオーストラリアでは15歳から24歳、カナダでは15歳から29歳と定義されています。

AYA世代に多いがんの種類

AYA世代に多いがんの種類は、以下の通りです。

乳がん
子宮頸がん
甲状腺がん
精巣がん
卵巣がん
白血病
非ホジキンリンパ腫
大腸がん
脳腫瘍
メラノーマ

15歳から24歳では、リンパ腫、精巣がん、甲状腺がんが多く、25歳から39歳では、乳がんやメラノーマが多くなります。

AYA世代のがん治療

AYA世代のがん治療は、がんの種類や進行度によって異なりますが、手術、化学療法、放射線療法などが主な治療法となります。AYA世代のがん患者の場合、小児の治療レジメンで治療した方が予後が良好である場合があります。例えば、急性リンパ芽球性白血病（ALL）の患者は、小児科の治療プロトコールで治療した方が転帰が良好である可能性があります。

妊孕性への影響と温存療法

がん治療は、患者の妊孕性（妊娠する力）に影響を及ぼす可能性があります。影響の度合いは、治療の種類や量、期間、年齢、健康状態などによって異なります。

がん治療が妊孕性に与える影響

化学療法：卵巣や精巣に影響を与え、卵子や精子の生成を阻害する可能性があります。
放射線療法：生殖器に直接照射される場合、卵巣や精巣を損傷する可能性があります。
手術：生殖器やその周辺の組織を切除する場合、妊孕性に影響を与える可能性があります。
ホルモン療法：月経周期を乱し、女性の妊孕性に影響を与える可能性があります。

米国臨床腫瘍学会は、腫瘍医に対し、治療に関連した不妊の可能性、および生殖能力を維持するための選択肢について、生殖年齢の高いすべての人々と話し合うこと、および生殖専門医への紹介を提供することを奨励しています。

AYA世代のがん患者に対する妊孕性温存療法

女性：卵子凍結、胚凍結、卵巣組織凍結など
男性：精子凍結、精巣組織凍結など

予後と課題

AYA世代のがんの全生存率は、若年の小児または高齢者ほど改善していません。AYA世代のがん患者は、治療後も、就労、教育、経済的な問題、対人関係など、様々な課題に直面することがあります。

まとめ

AYA世代のがんは、小児がんや高齢者のがんとは異なる特徴を持ち、治療やその後の生活にも特有の課題があります。AYA世代のがん患者が、より良い生活を送るためには、医療的なサポートだけでなく、心理的なサポートや社会的なサポートも重要となります。また、妊孕性への影響についても、治療前に十分な説明を受け、適切な温存療法を選択することが重要です。

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