Alembic

Alembicは、コンピュータグラフィックス、特にアニメーションやVFXの分野で用いられる、相互ファイル形式です。2011年のSIGGRAPHで発表されて以来、その汎用性と効率性から業界内で広く採用されています。このファイル形式の主な目的は、同じショットやアセットを使用する際に、異なるグループ間でジオメトリ（3Dモデル）データを円滑に共有することです。プロジェクトは、同じ会社内の異なる部門や、異なるスタジオ間で共同で進められることが多いため、Alembicのような共通のデータ交換形式が不可欠になります。

Alembicは、業界で一般的に使用される多様な幾何学表現をサポートしています。これには、ポリゴンメッシュ、サブディビジョンサーフェス、パラメトリックカーブ、NURBSパス、パーティクルなどが含まれます。さらに、トランスフォームヒエラルキー（オブジェクトの階層的な変形）やカメラ情報も保存できます。最新バージョンでは、マテリアルやライトのサポートも予定されており、Alembicの適用範囲はさらに広がることが期待されています。

Alembicの設計思想として、プロシージャルツールの複雑な依存関係を保持することよりも、結果として得られた「ベイク済みの」データを保存することに重点が置かれています。これにより、データの互換性と安定性が高まり、異なる環境間でのデータ共有が容易になります。

Alembicは、ソニー・ピクチャーズ・イメージワークスとルーカスフィルムが中心となって開発した、オープンソースのライブラリです。これにより、業界全体で自由に利用・拡張が可能となり、コミュニティの発展にも貢献しています。

Alembicをサポートするツール

多くの主要な3Dグラフィックスソフトウェアが、Alembicの読み書きをサポートしています。

組み込みツール:
Maya
Houdini
Cinema 4D
Blender
Katana
3ds Max (プラグイン経由)
プラグイン:
Unreal Engine
Unity
その他、様々なソフトウェアに対応したプラグインが提供されています。

その他の情報

Alembicという名前は、アメリカの高級エレキベース、ギター、プリアンプの製造メーカー「Alembic」に由来しています。このメーカーは、1969年にアメリカの栄養士、精神化学者、オーディオエンジニアのオウスリー・スタンレーによって設立されました。

また、Alembicのロゴに使われているタコは、ソニーが以前使用していた「タコ」というフォーマットに由来しています。さらに、ロゴの陰陽マークは、Alembic APIの入力と出力の対称性を表現しています。

参考文献

公式ウェブサイト
Alembic - GitHub

外部リンク

公式ウェブサイト
* Alembic - GitHub

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