And She Said

and She Said

「and She Said」は、L'Arc〜en〜Cielが1995年5月21日にリリースした2作目のビデオシングルです。前作「Blurry Eyes」から約7ヶ月ぶりの新譜で、メジャーデビューシングル「眠りによせて」以来となるビデオシングルの第二弾として発表されました。VHS版と、2003年12月17日にはDVD版が発売されています。発売元はKi/oon Sony Recordsです。

リリース背景

本作は、1995年3月から本格的に始まったアルバム『heavenly』のレコーディング期間中に制作されました。また、同年に行われたライヴツアー「in CLUB '95」の初日公演に合わせてリリースされました。メンバーのtetsuyaは、ツアー開始前のファンへのプレゼントとして新曲をリリースしたかったと語っています。kenも、以前から応援してくれているファンが楽しめる作品を目指したと述べています。hydeは、デビュー時と同様にビデオシングルという形態を選んだ理由について、ツアー開始のタイミングが合ったことと、デビュー1周年という区切りを意識したと語っています。

表題曲「and She Said」は、気怠さとサイケデリックな雰囲気が特徴的な楽曲で、ミュージックビデオには、バンド演奏シーンに加え、メンバーが撮影現場に到着する様子や、楽屋でのリラックスした様子も収められています。さらに、外国人エキストラがスタッフ役として登場し、彼らの合図で演奏が始まるというユニークな演出も盛り込まれています。

また、本作には2曲目として、前作「Blurry Eyes」のミュージックビデオも収録されています。さらに、エンディングロールでは、「and She Said」のインストゥルメンタルの一部が使用されています。

ビデオシングルという形態

本作は、1995年当時はまだ一般的ではなかったビデオシングルという形態でリリースされました。これは、ミュージックビデオが商品として入手しにくかった時代において、非常に斬新な試みでした。しかし、VHSという媒体がCDのような手軽さに欠けるため、この形態が音楽業界全体に浸透することはありませんでした。この作品以降、L'Arc〜en〜Cielがビデオシングルをリリースすることはありませんでした。

なお、2003年には、本作を含む4タイトルのDVD版と、2タイトルのDVD再発版が同時発売されました。

ミュージックビデオ

「and She Said」のミュージックビデオは、丹修一がディレクターを務めました。従来のL'Arc〜en〜Cielの作品とは異なり、遊び心のある演出が随所に見られます。メンバーのsakuraは、このミュージックビデオについて、これまでの作品でも遊び心を取り入れてきたが、シリアスに受け取られることが多かったため、より分かりやすい形で表現したかったと語っています。

また、映像の中には、hydeとsakuraがトランプで遊んでいるシーンや、kenがラジカセで曲をかけるシーンがあります。このラジカセから流れているのは、当時未発表だった次作「Vivid Colors」で、ファンにとってサプライズな演出となっています。

このミュージックビデオは、ベストアルバム『The Best of L'Arc-en-Ciel c/w』の初回限定盤特典DVDや、クリップ集『CHRONICLE 0 -ZERO-』にも収録されています。また、2019年からはYouTube Music Premium限定で有料公開され、その後2022年からは無料公開されています。

楽曲解説

and She Said

作詞・作曲: hyde / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel

「and She Said」は、気怠さとサイケデリックな雰囲気を内包した楽曲です。作詞・作曲を担当したhydeは、ビートルズをイメージしてこの曲を作ったと語っています。仮タイトルが「ずうとるび」だったことからも、その影響がうかがえます。sakuraは、hydeの望むサウンドを推察し、ティンパニなどのパーカッションを曲に取り入れました。sakuraはこの曲のリズムアプローチについて、フラワー・ムーヴメント系のイメージを意識したと述べています。また、ドラム録りでは、ミッチ・ミッチェル（ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス）を意識したと語っています。

tetsuyaは、ベース録りについて、遊び心をふんだんに取り入れ、ラフでオープンな気持ちで演奏したと語っています。また、ベース録りでは、リラックスした姿勢で演奏することで、ラフな質感を意識したそうです。

kenは、この曲の印象について、「コード感やスケール感がとらえどころがないが、メロディを追っていくと自然に流れていく」と述べています。hydeは、この曲の複雑な展開からライブには向かないと思っていたが、ファンが楽しんでくれていることが嬉しいと語っています。

歌詞は、サイケ期のビートルズを意識したリリックで、hydeは歌詞を書くにあたり、ビートルズの詩の全集を読んだそうです。歌詞の中の「セロファン」という言葉は、ビートルズの「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」に登場するフレーズを意識的に使用したと述べています。

hydeは、作詞作業において、ビートルズを好んで聴いていたsakuraの意見も取り入れたそうです。sakuraからのアドバイスによって、自分自身では思いつかなかった新しい試みができたと語っています。

Blurry Eyes

作詞: hyde / 作曲: tetsu / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel

1stシングルの表題曲。（楽曲解説は「Blurry Eyes#楽曲解説」を参照）

この曲のミュージックビデオは本作以外に、ベストアルバム『The Best of L'Arc〜en〜Ciel 1994-1998』の初回限定盤特典DVD、クリップ集『CHRONICLE 0 -ZERO-』に収録されています。

参加ミュージシャン

hyde：Vocal
ken：Guitar
tetsu：Bass
sakura：Drums & Percussion

and She Said
秦野猛行：Keyboards

収録アルバム

オリジナルアルバム

『heavenly』 (#1)

ベストアルバム

『The Best of L'Arc〜en〜Ciel 1994-1998』 (#1)

参考文献

『ロッキンf』、立東社、1995年5月号
『GiGS』、シンコー・ミュージック、1995年9月号
『ロッキンf』、立東社、1995年9月号付録
『SHOXX』、音楽専科社、1995年9月号Vol.35
『L'Arc〜en〜Ciel is』、シンコー・ミュージック、1996年

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