Apple Type Services for Unicode Imaging

Apple Type Services for Unicode Imaging（ATSUI）は、macOSに搭載されている、Unicodeテキストのレイアウトとレンダリングを行うためのAPIです。Mac OS 8.5で初めて導入され、その後macOSにも引き継がれました。

ATSUIの登場以前は、テキストエンコーディング方式によって各国の文字をサポートするWorldScriptが用いられていました。しかし、ATSUIではUnicodeを採用することで、より包括的な文字の取り扱いが可能になりました。これにより、世界中の多種多様な言語のテキストを、統一的な枠組みで表現できるようになったのです。

また、ATSUIはApple Advanced Typography (AAT)という高度なタイポグラフィ機能を提供します。AATは、合字やカーニングといった文字の微調整に加え、日本語の縦書き表示、左横書きとアラビア文字のような右横書きが混在する双方向テキスト、さらにはカシーダのような複雑な文字の変形処理を可能にしました。これにより、ATSUIは単にテキストを表示するだけでなく、見た目にも美しい、洗練されたテキスト表現を実現しました。

技術的な背景としては、ATSUIはQuickDraw GXのテキストAPIの流れを汲んでいます。その原型はSystem7.5まで遡ることができ、長年にわたる技術の蓄積と進化の上に成り立っていることがわかります。

しかし、macOSにおいて、ATSUIは常にテキストレイアウトの中核を担ってきたわけではありません。Mac OS X v10.4まではテキストレイアウトのほとんどをATSUIが担っていましたが、Mac OS X v10.5でCore Textという、より高速で新しいUnicodeテキストレイアウトエンジンが登場しました。

Core Textの導入により、ATSUIは徐々にその役割を終えつつあります。現在では、MLTEやQuickDrawとの互換性が必要な一部のケースを除き、テキストレイアウトの多くはCore Textによって処理されています。Core Textは、ATSUIよりも高速な処理と、よりモダンなアーキテクチャを備えているため、macOSにおけるテキスト処理の効率と品質を向上させました。

ATSUIは、過去には重要な役割を果たした技術でしたが、Core Textの登場により、その役目を終えつつあります。しかし、ATSUIが提供した高度なテキスト処理の概念や技術は、Core Textにも受け継がれており、macOSのテキスト処理の進化において重要な位置を占めています。

外部リンク

http://developer.apple.com/documentation/Carbon/Conceptual/ATSUI_Concepts/index.html

もう一度検索