ArtX

ArtX（アートエックス）

ArtXは、かつてアメリカ合衆国に存在したグラフィックチップ設計会社です。この会社は、シリコングラフィックス社で「NINTENDO 64」の開発を担当した主要メンバーによって設立されました。

設立と初期の目標

ArtXは、コスト効率と高性能を両立させたPCグラフィックスチップの開発に注力し、設立当初から業界の主要プレイヤーである3dfxやNVIDIAに対抗することを目指していました。デイビッド・オートン（シリコングラフィックスの先端グラフィックス部門の統括者）がArtXの社長に就任し、彼のリーダーシップの下、会社は技術革新と市場での競争力強化を図りました。オートンは後にATIのCEOとなり、AMDによるATI買収までその地位を維持しました。

主要な開発とプロジェクト

1999年、ArtXはCOMDEXで、ジオメトリエンジンを搭載した最初のグラフィックスチップセット『ALADDiN7』をデモンストレーションしました。このチップは、台湾のALi（エイリアス）社との共同開発によるものでした。また、ArtXは任天堂の第4世代ゲームコンソールである「ニンテンドー ゲームキューブ|ニンテンドー_ゲームキューブ」（GC）向けに、グラフィックスチップ（コードネーム：Flipper）を開発する契約を締結しました。このプロジェクトは、ArtXにとって大きな成功となり、その技術力を示す重要な機会となりました。

ATIによる買収とその後

2000年2月、ArtXはATI Technologiesによって40億ドルのストックオプションで買収されました。さらに、2006年7月にはATI TechnologiesがAMDに54億ドルで買収され、ArtXは間接的にAMDの一部となりました。この統合は2006会計年度の第4四半期に完了し、ArtXの技術と人材はAMDのグラフィックス部門に組み込まれました。

ArtXは、ATIから受け継いだR300グラフィックスチップセットの開発を推進し、ATIがNVIDIAとの競争で優位に立つための道を開きました。ATIとNVIDIAは、グラフィックスカードの性能（プロセッサ速度、メモリのアクセス速度と容量、パイプラインなど）において激しい競争を繰り広げており、AMDの一部となった現在でもその状況は変わっていません。

その後の影響

ゲームキューブの後継機である「Wii」のグラフィックを担うHollywoodチップも、旧ArtXの技術者チームが引き続き担当しました。これにより、ArtXの技術とノウハウは、任天堂のゲームコンソール開発に継続的に貢献することとなりました。

ArtXは、短期間ながらもグラフィックス業界に大きな影響を与え、その技術は今日のAMDのグラフィックス製品にも受け継がれています。

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