As close as possible

オフコース『as close as possible』解説

『as close as possible』は、1987年3月28日にリリースされたオフコースの13枚目のオリジナルアルバムです。「ONE FOR ALL, …ALL FOR ONE」をテーマに掲げ、メンバーそれぞれのソロ活動期間を経て制作されました。

制作背景

1986年、オフコースはメンバー個々のソロ活動に専念し、グループとしての活動を休止していました。小田和正のソロアルバム『K.ODA』の発表後、同年暮れからこのアルバムのレコーディングが開始されました。小田の米国でのプロジェクトの成果や、前作『Back Streets of Tokyo』でのコーディネーション経験が大きく反映されています。

このアルバムから、後に小田のソロ作品にも参加するプログラマー、望月英樹が参加し、シーケンサーを駆使したサウンドに大きな変化が見られました。また、これまでバンドメンバーのみで行ってきた楽曲制作や演奏において、外部スタッフの導入が積極的に行われるようになり、オフコースは4人を中心としたプロデュース集団としての色合いを強めていきました。

作詞家・松本一起の起用もその一つです。大間仁世が勇直子のプロデュースを手がけた際に知り合い、「この人ならオフコースでもいけるのではないか」と感じて作詞を依頼したそうです。小田は、作品作りに関してメンバーが深く関わるというコンセプトが先にあるとし、楽曲の割り振りや歌唱担当についても柔軟な姿勢で臨んだと語っています。

楽曲について

B-1「Love Everlasting」は、『K.ODA』のレコーディング時に制作された楽曲で、『K.ODA』と同じメンバーがレコーディングに参加しています。B-5「嘘と噂」には、坂本龍一が編曲で、大貫妙子がゲストボーカルで参加しています。坂本龍一の参加は、シングル「今だから」での編曲や、坂本が当時パーソナリティを務めていたラジオ番組に小田がゲスト出演したことがきっかけでした。大貫妙子の起用について、小田は「外部の人と組むことには積極的になろうと思っていた」と語り、歌詞の内容から女性ボーカルが適していると考え、以前から声が好きだった大貫妙子に依頼したと述べています。この曲は後に、大貫妙子のオフィシャル・セレクション・アルバム『palette』に“オフコース featuring 大貫妙子”名義で収録されました。

A-5「Tiny Pretty Girl」とB-3「心の扉」は、清水仁が初めて作曲を手がけ、リードボーカルも担当した楽曲です。清水は、共作について「まずベーシックなものを作って、それを松尾に聴かせて手直しをしていくという方法でやった」と語っています。この時点で、オフコースは3人のソングライターを擁することになりました。

CD選書シリーズ

このアルバムは、「CD選書シリーズ」の一枚として廉価盤で再リリースされました。CDケースはプラスチック製のスリムケースが使用されています。

収録曲

もっと近くに (as close as possible)
IT'S ALL RIGHT (ANYTHING FOR YOU)
ガラスの破片
白い渚で
Tiny Pretty Girl
Love Everlasting
I’m a man
心の扉
SHE’S GONE
嘘と噂

『as close as possible』は、オフコースが新たな音楽性を追求し、外部スタッフとの協働によって生まれた意欲的な作品です。

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