Athlon II

AMD Athlon II:K10アーキテクチャに基づくプロセッサ



AMD Athlon IIは、AMDのK10マイクロアーキテクチャを採用したマイクロプロセッサです。このプロセッサは、Phenom IIをベースに開発されましたが、L3キャッシュを搭載していない点が大きな特徴です。L3キャッシュの省略により、同クロック周波数のPhenom IIと比較して処理能力は若干劣るものの、発熱量と消費電力を大幅に削減することに成功しています。

製品ラインナップ



Athlon IIシリーズは、多様なニーズに対応するため、複数のコア構成で展開されました。具体的には、以下のモデルが存在します。

Athlon II X2: デュアルコアCPUとして、日常的なタスクやライトな作業に適しています。
Athlon II X3: トリプルコアCPUで、デュアルコアよりも高いパフォーマンスを必要とするユーザー向けです。
Athlon II X4: クアッドコアCPUとして、Athlonブランドでは初の4コアモデルとなります。より複雑な処理やマルチタスクに強みを発揮します。

さらに、Socket FM1/FM2に対応したモデルも存在します。これらのモデルは、AMDのFusion APU(Accelerated Processing Unit)からGPU機能を無効化したもので、従来のAthlon IIとは内部構造が大きく異なります。そのため、別途グラフィックカードが必要となります。

Socket FM1版 Athlon II: Llanoコアをベースとし、GPUを無効化したモデル。Socket FM1マザーボードとグラフィックカードが必須です。
Socket FM2版 Athlon X4:Trinity/Richlandコアをベースとし、GPUを無効化したモデル。こちらもSocket FM2マザーボードとグラフィックカードが必要で、X2モデルも存在します。

また、Athlon IIの名を冠するモバイル向けプロセッサ「Athlon II Dual-Core Processors for Notebook PCs」も存在しますが、詳細についてはTurion IIの項目を参照する必要があります。

各モデルの仕様



以下に、Athlon IIシリーズの主なモデルの仕様をまとめます。

Athlon II X4 (Propus)


製造プロセス: 45nm SOI
L1キャッシュ: 64KB(各コア独立)
L2キャッシュ: 512KB(各コア独立)
対応ソケット: Socket AM2+/Socket AM3

Athlon II X3 (Rana)


製造プロセス: 45nm SOI
L1キャッシュ: 64KB(各コア独立)
L2キャッシュ: 512KB(各コア独立)
対応ソケット: Socket AM2+/Socket AM3

Athlon II X2 (Regor)


製造プロセス: 45nm SOI
L1キャッシュ: 64KB(各コア独立)
L2キャッシュ: 1024KB(各コア独立)
対応ソケット: Socket AM2+/Socket AM3

Athlon II X4 (Socket FM1, Llanoベース)


製造プロセス: 32nm SOI
L1キャッシュ: 64KB(各コア独立)
L2キャッシュ: 1024KB(各コア独立)
対応ソケット: Socket FM1
X2やSempronブランドの製品も存在します。

Athlon X4 (Socket FM2, Trinity/Richlandベース)


製造プロセス: 32nm SOI
L1キャッシュ: 不明
L2キャッシュ: 2MB x 2 or 1MB
対応ソケット: Socket FM2
X2モデルも存在します。

TDP (熱設計電力)



Athlon IIシリーズのTDP(熱設計電力)は、モデルによって異なります。以下に主なモデルのTDPをまとめます。

95Wモデル: Athlon II X4 645/640, Athlon II X3 455/450/445
65Wモデル: Athlon II X2 265/260/255/250/240/220/215
45Wモデル: Athlon II X4 615e/610e/605e/600e, Athlon II X3 420e/415e/405e/400e, Athlon II X2 250e/245e/240e/235e

まとめ



AMD Athlon IIは、K10アーキテクチャを基盤とし、L3キャッシュを削減することで消費電力を抑えたプロセッサです。デュアルコアからクアッドコアまで幅広いラインナップを誇り、Socket FM1/FM2版も登場するなど、多様なユーザーニーズに対応しました。その結果、多くのPCユーザーにとって手頃で信頼性の高い選択肢の一つとなりました。

外部リンク



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