B'z The "Mixture"

B'z The "Mixture" について

『B'z The "Mixture"』は、B'zが2000年2月23日に発表した、公認の裏ベストアルバムです。通称「パール盤」とも呼ばれています。このアルバムは、これまでのアルバムに収録されていなかったシングルのカップリング曲や未発表曲、そして既存曲のリミックスバージョンなどを集めた、まさに「混合」アルバムと言える内容になっています。全曲がアルバム初収録であり、バージョン違いを含めると、そのバリエーションの豊かさが際立ちます。

B'z自身はこのアルバムを、単なる「裏ベスト」や「B面集」とは捉えておらず、「マスト・アルバム」と位置づけています。これは、このアルバムが単なるコレクションではなく、B'zの音楽性を多角的に表現した作品であるという自信の表れでしょう。

特徴的な構成

このアルバムには、ボーナストラックとして、当時期間限定で開設されたウェブサイト「BZ-MIXTURE.COM」でのみ配布された「B'z Media Player」をインストールすることで聴ける未発表曲が含まれていました。また、パッケージはスリーブケース仕様で、裏面に松本孝弘と稲葉浩志の顔写真がモンタージュ風にデザインされたものと、アルバム名と曲名が書かれた細長いものの2種類が存在します。

さらに、初回生産特典として、B'zのロゴとメンバーの顔写真が入ったルービックキューブ「B'z CUBE」が付属し、二次出荷特典としては、B'zの新旧ロゴが入った携帯電話用電磁波防止シール（全5種類）が封入されました。これらの特典からも、このアルバムが特別な作品として扱われていることがうかがえます。

受賞歴

『B'z The "Mixture"』は、第15回日本ゴールドディスク大賞でロック・アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。

「Mixture style」と「Mixture mix」

このアルバムには、「Mixture style」と「Mixture mix」という2つの異なるアプローチの楽曲が含まれています。「Mixture style」は、既存の楽曲を新たにレコーディングし直したもので、ドラムやベースの音が打ち込みから生音に変更されています。また、ギターの音が重厚になるなど、大幅なアレンジが施されている曲もあります。

一方、「Mixture mix」は、既存の楽曲をリミックスしたもので、多くの場合、左右の音の振り分けが変わっています。これらのリミックスによって、聴き慣れた楽曲に新たな魅力が加えられています。

リリースと配信

アルバムの原盤権はビーイングが保有しており、発売元はBMGファンハウス（現・アリオラジャパン）のBERGレーベルです。しかし、B'zの公式サイトのディスコグラフィーにも掲載されており、選曲にはメンバー自身が関わっているため、公式アルバムとして扱われています。

長らく着うた・着うたフル（一部楽曲）とビーイング運営の配信サイトでのみ配信されていましたが、2021年5月21日にサブスクリプションサービスが解禁され、各配信サービスでも聴けるようになりました。

プロモーション

アルバム発売日には、ニッポン放送のラジオ番組『B'zのオールナイトニッポン〜Media Mixture〜』に生出演し、インターネットでも同時中継されました。この時の同時アクセス数は14,600ストリームに達し、当時の日本記録を更新しました。

また、東急百貨店東横店（2020年3月31日閉館）の屋上には、アルバムPR用の巨大オブジェが設置され、渋谷のQFRONT屋上からはレーザー光線で夜空の雲にB'zのロゴを描くという試みも行われました。

収録曲解説（一部）

だからその手を離して -Mixture style-: 1stシングルの再録で、ハードロック調にアレンジされています。プロモーションでのテレビ出演で多く歌われました。
YOU & I -Mixture mix-: 原曲よりもデジタル音が抑えられ、ギターリフが強調されています。
OH! GIRL -Mixture style-: ギターの音が重くなり、アウトロがライブ仕様に変更されています。
NEVER LET YOU GO -Mixture style-: 原曲よりもギターの音が太くなっています。
JOY -Mixture mix-: ドラムがやや強調され、コーラスの音量が抑えられています。
今では…今なら…今も… -Mixture style-: ギターの音が太くなり、ギターソロが変更されています。
孤独のRunaway -Mixture style-: ロック色が強くなり、ギターとコーラスが目立つようになっています。
MOVE: アルバム初収録のシングルA面曲。
東京 -Mixture mix-: 全体的に楽器の音が抑えられています。
hole in my heart -Mixture mix-: ギター音が強調されています。
KARA・KARA -Mixture mix-: ホーンが強調され、キャッチーになっています。
FUSHIDARA 100％: アルバム初収録で、曲終了後すぐに次の曲に移ります。
ビリビリ -Mixture mix-: カッティングの音量が下げられ、ディレイが強くなっています。
Hi: アルバム初収録。
The Wild Wind: アルバム初収録。
あなたならかまわない: 未発表曲で、ギターによるイントロからサビが始まります。

参加ミュージシャン

松本孝弘（ギター、作曲・編曲）、稲葉浩志（ボーカル、作詞、編曲）のほか、明石昌夫、池田大介、徳永暁人などのアレンジャー、黒瀬蛙一、山木秀夫、青山純、そうる透、田中一光、デニー・フォンハイザーなどのドラマー、満園庄太郎、中村“キタロー”幸司などのベーシスト、小野塚晃、増田隆宣などのキーボーディスト、佐々木史郎、数原晋などのトランペット奏者、大黒摩季などのコーラス担当が参加しています。

まとめ

『B'z The "Mixture"』は、単なるベストアルバムではなく、B'zの音楽的な幅広さと実験精神を体現した、非常に価値のあるアルバムです。過去の楽曲を新たな解釈で楽しむことができるだけでなく、未発表曲や貴重なバージョンを聴くことができるため、B'zファンにとってはまさに「マスト・アルバム」と言えるでしょう。

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