QFRONT

QFRONT（キューフロント）

QFRONTは、東京都渋谷区、渋谷スクランブル交差点に面する商業ビルです。渋谷駅周辺のランドマークとして知られ、建物脇には渋谷センター街の入口があります。その特徴的な外観と、デジタルコンテンツの発信拠点としての役割から、多くの人々にとって渋谷の象徴的な存在となっています。

歴史

QFRONTが建設される以前、この場所には東海銀行や渋谷宝塚劇場が入居する「峰岸ビル」がありました。しかし、渋谷スクランブル交差点という絶好のロケーションにもかかわらず、その存在感は薄いものでした。渋谷を拠点とする東急百貨店グループにとって、この場所の再開発は長年の課題でした。しかし、敷地面積が800平方メートルに満たないため、通常のショッピングセンターのような開発は難しい状況でした。

1990年代に入り、東急グループによる渋谷再開発の一環として、旧ビルの建て替え計画が持ち上がりました。アール・アイ・エーの近藤正一氏は、この場所には「看板仕上げ」の建物か、内部の動きが透けて見える半透明の建物がふさわしいと考えました。そして、東急ハンズの業態開発に参画していた浜野安宏氏が、メディアやデジタル関連のテナントを集積させ、建物全体を透明または半透明のファサードで覆い、巨大な映像とアートで彩るという提案をしました。

また、浜野氏は「グレーター・シブヤ」（拡大渋谷圏）構想を提唱し、渋谷駅周辺だけでなく、近隣の初台、恵比寿、三軒茶屋、六本木といった半径3キロメートル圏まで商圏を拡大し、デジタル族という新しいターゲット層を取り込むというコンセプトを打ち出しました。こうして、QFRONTは従来の商業施設とは異なる、新しい形の情報発信拠点としての役割を担うことになりました。

特徴

「不在建築」というコンセプトのもと建設されたQFRONTは、ラチス構造の無柱空間を採用し、狭く変形した敷地ながらも店舗面積を最大限に確保しています。地下2階から地上8階までの10層構造で、かつては7階に映画館「渋谷シネフロント」がありましたが、現在はTSUTAYAが全フロアに入居しています。中でも筆頭店と位置付けられる「SHIBUYA TSUTAYA」は、同社の店舗の中で最大の在庫を誇ります。

街頭ビジョン

QFRONTの大きな特徴の一つが、建物に内蔵された街頭ビジョン「キューズ・アイ（Q's EYE）」です。ダブルスキン・カーテンウォールに組み込まれており、2005年に老朽化に伴い交換、2013年にはメインビジョンに加えてアートビジョンが設置されました。この2種類のLEDディスプレイを連動させることで、1200インチ相当の巨大画面として使用することも可能です。ビジョンの運営管理はヒビノが受託しています。

また、2020年には建物最上部に、日本コカ・コーラによる「渋谷コークビジョン」が設置されました。透過型LEDビジョンと、背面からのLED照明を組み合わせることで、立体感のある映像表現を実現しています。

テナント構成

現在のテナントは、1階と2階にスターバックス コーヒーSHIBUYA TSUTAYA店、地下2階から地上6階にTSUTAYAの旗艦店「SHIBUYA TSUTAYA」、7階にTSUTAYAとWIRED CAFEのコラボ店舗「WIRED TOKYO 1999」、8階にTSUTAYAの業務スペースと配信イベント用スペースがあります。

開業当初は、映画館やイベントスペース、デジタルスクール、ダイニングバーなど多様なテナント構成でしたが、リニューアルを経て、TSUTAYAを中心とした構成となりました。

リニューアル

QFRONTは、2023年10月30日から全面リニューアルのため休店し、2024年4月25日にリニューアルオープンしました。これにより、フロア構成が大きく変更され、TSUTAYAの各コンセプトショップが中心となっています。

フロア構成

8F: TSUTAYA (STUDIO)
7F: TSUTAYA (コラボレーションカフェ)
6F: TSUTAYA (IP SHOTEN)
5F: TSUTAYA (POKÉMON CARD LOUNGE)
4F: TSUTAYA (SHARE LOUNGE)
3F: TSUTAYA (SHARE LOUNGE)
2F: TSUTAYA (STARBUCKS)
1F: TSUTAYA (SHIBUYA IP SQUARE A、STARBUCKS)
B1: TSUTAYA (SHIBUYA IP SQUARE B)
B2: TSUTAYA (ENTAME WONDERLAND)

かつて7階には映画館「渋谷シネフロント」がありましたが、2010年に閉館し、その後TSUTAYAが入居しました。

QFRONTは、そのユニークなコンセプトと、渋谷の街のランドマークとしての存在感から、多くの人々にとって重要な場所となっています。

もう一度検索