B級駆逐艦 (初代)

B級駆逐艦の概要

B級駆逐艦は、イギリス海軍が1913年に駆逐艦の艦級をアルファベット順に整理した際に、再分類された艦級です。元々は、19世紀末から20世紀初頭にかけて建造された30ノッター型駆逐艦の一部で、特に4本の煙突を持つ艦がB級に分類されました。この艦級は、当時の水雷艇の脅威に対抗するために開発された駆逐艦の進化を物語る存在です。

歴史的背景

19世紀末、フランス海軍が水雷艇戦力を強化したことに対応するため、イギリス海軍は水雷艇駆逐艦（TBD）の開発に着手しました。軽量な船体と高性能な水管ボイラーを搭載したTBDは、当初27ノットの速力を実現しました。この27ノッター型（後にA級に再分類）の成功を受け、イギリス海軍は更なる高速化を目指し、30ノッター型の開発を進めました。1903年までに74隻が建造され、その後1913年の艦級整理で、4本煙突の艦がB級となりました。

設計の特徴

B級駆逐艦の設計は、各造船所に細部が任されていたため、煙突数を除けば艦型は多種多様です。基本的な構造はA級と同様で、水雷艇を強化・拡大したものでした。敵からの発見を遅らせるため、乾舷の低い平甲板型を採用し、艦首には波の打ち込みを防ぐ亀甲型（タートルバック）が用いられました。また、フレアやタンブルホームといった形状も採用され、波浪の影響を軽減する工夫が凝らされていました。艦尾の形状も特徴的で、プロペラ先端を収めるための凹みが設けられていました。

ボイラーは、石炭専焼式の水管ボイラーが採用され、ヤーロウ式、ソーニクロフト式、ノルマン式、リード式といった種類がありました。主機関は、3段膨張3気筒レシプロ蒸気機関で、基本出力は6,200馬力でしたが、「アルバコア」と「ボニット」は7,000馬力でした。公試では、ほとんどの艦が30ノットの目標速力を達成し、「ウルフ」は31.1ノットを記録しました。

高速化への挑戦

フランスの航洋水雷艇「フォルバン」が31.03ノットを記録したことを受け、イギリス海軍はB級の「アラブ」と「エクスプレス」を高速艦として試作しました。「アラブ」は8,600馬力、「エクスプレス」は9,250馬力に強化されましたが、33ノットの目標速力には届かず、レシプロ蒸気機関の限界が明らかになりました。

その後、海軍はタービン機関の導入を検討し、パーソンズ直結タービンを搭載した「コブラ」を建造しました。「コブラ」は4軸推進で、各軸に3個の推進器を備えていました。また、事故で沈没した30ノッター型の代替として、「アルバコア」と「ボニット」もパーソンズ直結タービン艦として購入されました。

装備

B級駆逐艦の装備は、A級を踏襲し、水雷艇撃攘を目的とした艦砲が中心でした。主砲は40口径7.6cm砲（QF 12ポンド砲）1基で、副砲として40口径5.7cm砲（QF 6ポンド砲）5基が搭載されました。主砲は艦首甲板に配置され、「アルバコア」と「ボニット」では副砲の代わりに7.6cm砲が3基搭載されました。また、雷撃任務のため、18インチ魚雷発射管2基も装備されました。

同型艦一覧

（同型艦の詳細は、参考文献を参照してください）

参考文献

（参考文献リストは省略します）

もう一度検索