B53 (核爆弾)

B53核爆弾の概要

B53は、アメリカ合衆国がかつて配備していた核爆弾、具体的には水素爆弾です。この爆弾は、戦略的な目的で開発されたもので、その核出力はメガトン級に達します。B53に搭載されているW53核弾頭も同様の特性を有しており、冷戦時代の対立を象徴する重要な兵器の一つとされています。

開発の経緯

B53の開発は、1955年にロスアラモス国立研究所で始まりました。その後、1962年から1965年にかけて生産が行われ、合計で350発が製造されました。この爆弾は、特にキューバ危機の際に米ソ間の緊張が高まる中で生産されたため、冷戦の一端を担う存在となりました。

設計と性能

B53は、アメリカ空軍の大型爆撃機、具体的にはB-47、B-52、B-58などに搭載されました。各機種においては、1発だけを搭載できる設計となっており、投下の際には三段階のパラシュート展開を行うことで、レイダウン投下が可能となっています。また、プライマリー部にはプルトニウムを使用せず、高濃縮ウランを採用しています。核融合燃料としては、リチウム6同位体を用いた重水素化リチウムが利用されていました。これにより、最大出力は9メガトンに達し、特に地下施設を破壊することを目的としたタスクを果たすために配備されていました。

使用と配備

B53は、1997年にB61 Mod 11地中貫通爆弾に更新されるまでは、地下施設破壊用としての役割を果たしていました。地表面での核爆発が生じることで、その衝撃波により地下の施設を効果的に破壊することが可能でした。また、W53核弾頭は、1987年までタイタン II大陸間弾道ミサイルに搭載されており、単弾頭ミサイルのMk.6再突入体内に組み込まれていました。

解体と現在の状況

B53の歴史的な運用に終止符が打たれたのは、2011年の10月25日です。この日、テキサス州アマリロにある核施設において、最後に保管されていたB53の1発が解体されることになりました。この時の解体は、国家核安全保障局から正式に発表され、冷戦時代の象徴とも言えるこの兵器の歴史に一区切りが付けられました。

現在、B53はネバダ州ラスベガスにある核実験博物館などでその存在が展示されており、訪れる人々に冷戦時代の核兵器の実態を伝える役割を果たしています。

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