BAe シーハリアー

BAe シーハリアー

BAe シーハリアー（British Aerospace Sea Harrier）は、イギリスのホーカー・シドレー社が開発した特異な艦上戦闘機です。これによって、従来型の飛行機とは異なる、垂直及び短距離離着陸が可能な力強い航空機が誕生しました。この機体は、イギリス海軍とインド海軍で幅広く運用されましたが、いずれの国でもその運用は時とともに終息を迎えました。イギリス海軍での運用は2006年、インド海軍では2016年に終了しました。

開発の背景

シーハリアーの開発は1950年代に遡ります。当初、ホーカー・エアクラフト社とブリストル・エンジン社は垂直離着陸機の可能性を模索し始めました。1960年代には、プロトタイプの「P.1127」が初飛行を果たし、様々な改良が加えられていきました。この時期のテストでは、艦上運用においても優れた性能を示しましたが、イギリス海軍の関心は薄く、不安要素も見られました。

その後、海軍が直面した問題として、航空母艦CVA-01の計画中止がありました。これにより、艦隊航空隊の航空機として艦上型ハリアーの開発が本格化しました。73年には「インヴィンシブル」が発注され、その機体としてシーハリアーの量産が始まりました。

シーハリアーFRS.1

シーハリアーFRS.1は、空軍向けのハリアーGR.3に基づき設計されましたが、独自の艦上運用向けに改良されています。機首にはブルーフォックス・レーダーが装備され、兵装にも対艦ミサイルが搭載可能です。また、塩害防止のための防錆処理が施され、艦上機としての耐久性も向上しています。1978年には量産型の初飛行を果たし、多くのシーハリアーが部隊に配備されました。

フォークランド紛争における運用

1982年のフォークランド紛争では、シーハリアーが重要な役割を果たしました。当初、海軍が保有していた31機のシーハリアーのうち、多くが機動部隊に配属されました。空中戦では、優れた戦術と性能を活かし、アルゼンチン空軍に対し空対空戦闘で圧倒的な結果を収めました。シーハリアーは、ミラージュIIIとの交戦において損害ゼロを達成し、航空戦を一方的に優位に進める要因となりました。

F/A.2への改修

フォークランド紛争の教訓を受けて、シーハリアーはさらなる改良が加えられ、F/A.2型となりました。アビオニクスが強化され、レーダーの性能が向上しました。これにより、視界外からの攻撃が可能となり、さらには新たな空対空ミサイルを運用する体制が整いました。

この新型はNATO軍の様々な作戦に参加し、その後2000年代には統合運用部隊が設置され、空軍との共闘を図るなど、シーハリアーの運用は多様化していきました。しかし、技術革新に伴いエンジンの更新が難航し、2006年をもってその運用は終了しました。

インド海軍での利用

インド海軍でもFRS.51型が導入され、シーハリアーはその運用の中で改良が重ねられました。しかし、老朽化が進み、インドの航空母艦「ヴィラート」が退役するのに合わせて、2016年に運用を終了しました。

結論

BAeシーハリアーは、海軍航空の歴史に大きな足跡を残した航空機であり、その独特な運用能力から、多くの重要な戦闘に関与しました。イギリスとインドの海軍での実績は、今後も航空機開発の参考とされることでしょう。

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