BEMSアグリゲータ

BEMSアグリゲータとは

BEMSアグリゲータとは、経済産業省の補助事業「エネルギー管理システム導入促進事業」において、中小ビル等にBEMS（Building and Energy Management System）を導入し、クラウドなどを活用して集中管理システムを構築、中小ビルの省エネルギーを管理・支援する事業者のことです。この事業は、エネルギー利用情報管理運営者が中心となり、中小企業の省エネ化を促進することを目的としていました。

事業の概要

この補助事業は、2011年度の第三次補正予算で要求されたもので、本来は東日本大震災の復興予算から300億円が捻出されました。経済産業省は、この予算を中小企業向けのBEMS導入と家庭向けのHEMS（Home Energy Management System）の導入促進に充当しました。事業管理は、経済産業省の外郭団体である一般社団法人環境共創イニシアチブ（SII）が行いました。

補助金の対象はBEMSを導入する中小企業でしたが、これらの企業はBEMSアグリゲータと「エネルギー管理支援サービス」の契約を結ぶことで、補助金がBEMSアグリゲータに流れる仕組みとなっていました。実際の補助金交付申請は、BEMSアグリゲータが代行することになっており、導入企業はサービス開始後の電力消費実績をBEMSアグリゲータを通じて国に報告する義務がありました。

事業の経緯

2012年1月から事業者の一次募集・審査が開始され、2012年4月にはBEMSシステム会社、家電量販店、ESCO事業者、リース業者など21の事業者・コンソーシアムがBEMSアグリゲータとして選定・登録されました。これらのアグリゲータは、2年間で合計6.5万件のBEMS導入契約を目標としていましたが、事業開始から約1年後の2013年3月の時点でも、導入件数は3,000件程度にとどまり、二次募集が行われました。また、BEMSアグリゲータの選定では「業務を全うできる安定的な事業基盤」が求められたにも関わらず、登録されていた事業者の一つが2013年3月に破産するという事態も発生しました。

事業の打ち切り

政府は、東日本大震災の復興予算の使途を厳格化する方針を決定し、復興推進会議で被災地の復旧・復興に直接関係のない予算の返還を求めました。その結果、本補助事業からも52億円の返還が見込まれるとされました（300億円のうち、248億円が執行済みとされていました）。

しかし、2013年9月には、本補助事業の予算が東日本大震災の復興予算から流用されたものであることが報道され、大きな批判を浴びました。報道によると、経済産業省が執行済みとしていた248億円のうち、実際に使われたのは23億円に過ぎず、残りの225億円には未契約の在庫が含まれており、機器の販売が続けられていました。この報道に対し、被災者からは「復興とは無関係だ」との厳しい声があがり、経済産業省は11月1日以降のBEMS導入契約を補助対象から除外し、10月末をもって補助金交付申請を打ち切ることを決定しました。

事業の成果

最終的なBEMS導入申請件数は約6,300件にとどまり、当初目標の1割未満という結果となりました。この結果は、当初の需要予測が過大であったことを示しています。

BEMSアグリゲータ一覧

以下は、2013年5月24日時点のBEMSアグリゲータ（幹事社のみ）の一覧です。掲載順は、一般社団法人環境共創イニシアチブ（SII）のホームページに基づいています。

大崎電気工業
エナリス
ダイキン工業
イオンディライト
エディオン
日本電気
日本アイ・ビー・エム
ヴェリア・ラボラトリーズ
NTTデータカスタマサービス
富士通
日立製作所
NKワークス
日本テクノ
九電工
パナソニックESエンジニアリング
東芝
オリックス
NTTファシリティーズ
日本ユニシス
ユアテック
エービル
三井情報
洸陽電機
アズビル

脚注

本記事は、経済産業省の補助事業に関する報道や公式資料に基づき作成しました。

関連項目

産業政策
節電器

外部リンク

環境共創イニシアチブ（SII）

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