BMW・E21

BMW E21: 3シリーズ初代モデルの系譜

BMW E21は、1975年から1983年にかけて製造された、BMW 3シリーズの初代モデルです。この2ドアセダンは、BMWの伝統を受け継ぎながら、革新的なデザインと優れた走行性能で人気を博しました。02シリーズの流れを汲むスタイリッシュなボディは、滑らかな曲面を多用し、スポーティな印象を与えます。軽量ボディに搭載されたM10型エンジンは軽快な吹け上がりと鋭いレスポンスを実現し、俊敏なハンドリング特性と相まって、ドライバーを魅了しました。

エンジンとパフォーマンス

発売当初は、直列4気筒エンジンを搭載した316、318、320、そして燃料噴射装置付きの320iがラインナップされました。上級モデルの320と320iは、特徴的な4灯式ヘッドライトを備えていました。1977年には、直列6気筒エンジンを搭載した320/6と323iが追加され、よりパワフルな選択肢が提供されました。オイルショックの影響から、高性能スポーツセダンは設定されませんでしたが、モータースポーツシーンでは320i Turboが活躍しました。

デザインと特徴

E21のデザインは、BMWらしいスポーティさとエレガントさを兼ね備えています。02シリーズから受け継いだ逆アリゲーター式ボンネットは、ボディサイドのキャラクターラインから開口する独特のデザインで、外観上の特徴の一つでした。サスペンションは、前輪がマクファーソンストラット式、後輪がセミトレーリングアーム式で構成され、優れたハンドリングに貢献しました。1979年のマイナーチェンジでは、フロントロアーパネル、エアスポイラー、サイドミラーのデザインが変更され、さらに廉価モデルの315も追加されました。315は、316のエンジンをデチューンしたモデルでした。また、オープンモデルであるカブリオレ(Top Cabriolet)も継続して販売されました。

日本における販売

日本市場では、当初バルコムオートトレイディングが正規輸入を行い、その後BMWジャパンが引き継ぎました。しかし、販売網の整備が不十分だったため、並行輸入も多く見られました。正規輸入モデルは、当初はトップモデルの320iと320iAが中心で、アメリカ仕様をベースにヨーロッパ仕様の外装に変更されたものでした。初期モデルではフェンダーミラーが採用されていましたが、その後ドアミラーに変更されました。1980年にはマイナーチェンジを受け、318iと318iAが輸入され、モデルラインナップが拡充しました。1983年のモデルチェンジまで、価格以外の大きな変更はありませんでした。

まとめ

BMW E21は、3シリーズの礎を築いた重要なモデルです。スポーティなデザイン、優れたハンドリング、そして多様なエンジンバリエーションによって、多くのファンを魅了しました。日本市場においても、正規輸入と並行輸入を通じて、多くのE21が走り、その存在感を示しました。軽量でスポーティな走り、そして独特のデザインは、今でも多くの愛好家から高い評価を受けています。このモデルは、BMWの歴史において重要な位置を占め、後の3シリーズモデルへと続く伝統と革新の系譜を示すものです。その優れたデザインと走行性能は、今日でも高く評価されており、多くのクラシックカー愛好家に支持されています。E21は、単なる一台のクルマではなく、BMWの歴史と伝統を象徴する存在と言えるでしょう。

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