BOØWY (アルバム)

BOØWY 3rdアルバム『BOØWY』

1985年6月21日にリリースされたBOØWYの3枚目のオリジナルアルバム『BOØWY』は、バンドにとって大きな転換期となった作品です。徳間ジャパンから東芝EMIへの移籍後、初のアルバムであり、海外レコーディングという新たな試みにも挑戦しました。プロデューサーには佐久間正英を迎え、ベルリンのハンザ・スタジオで録音されました。

制作の背景

前作までのアルバムが商業的に成功しなかったBOØWYは、一度解散の危機に瀕しました。しかし、「あと一枚だけはアルバムを作ろう」という強い意志のもと、メンバーはプライベートオフィス「ØCON-NECTION」を設立。地道なライブ活動を続け、徐々にファンを増やしていきました。その過程で、音楽業界への不信感を抱きながらも、ユイ音楽工房の糟谷銑司との出会いをきっかけに、東芝EMIとの契約に至りました。

ベルリンでのレコーディング

佐久間正英は、BOØWYのサウンドをさらに進化させるため、ベルリンのハンザ・スタジオでのレコーディングを提案しました。このスタジオはデヴィッド・ボウイも使用したことで知られ、メンバーは海外レコーディングに強い意欲を示しました。ベルリンでの約3週間のレコーディングは、BOØWYにとって初の海外経験となり、現地のエンジニアであるマイケル・ツィマリングとの出会いが、サウンド面に大きな影響を与えました。佐久間は、メンバーを閉鎖的な環境に置くことで、音楽に集中させることを目指し、ベルリンを選びました。

サウンドと楽曲

本作では、氷室京介と布袋寅泰の作曲に加え、作詞家として松井五郎が参加しています。佐久間正英は、BOØWYの楽曲が歌謡曲的な要素が強いと感じていましたが、ロックサウンドを追求したアレンジを施しました。これにより、氷室のウェットなメロディと布袋のエッジの効いたギターサウンドが融合し、独自の音楽性が確立されました。

アルバムには、ライブで人気の高かった「Baby Action」や「CLOUDY HEART」をはじめ、「Dreamin'」「ホンキー・トンキー・クレイジー」「BAD FEELING」など、後のBOØWYの代表曲となる楽曲が多数収録されています。特に「Dreamin'」は、ライブの定番曲として、ファンの間では特別な存在となっています。

音楽的な特徴

本作のサウンドは、初期のパンクやニューウェイヴの要素から脱却し、より洗練されたものへと変化しています。ハーモナイザーを多用したギターサウンドや、変則的なビートが特徴的で、曲構成も複雑になっています。氷室は、ベルリンでの経験が作詞スタイルに影響を与えたと語っており、不良のラブソングを意識した歌詞は、聴く者の心を掴みます。

リリースとプロモーション

アルバムは、LP、CT、CDの3形態でリリースされ、先行シングルとして「ホンキー・トンキー・クレイジー」がリリースされました。アルバムジャケットの写真はハービー・山口が撮影し、リカットとして「BAD FEELING」のリミックスバージョンもリリースされています。

発売後、オリコンチャートでは最高48位でしたが、その後ロングセラーとなり、累計62万枚を売り上げました。批評家からも、その独創性が高く評価され、「日本のロックに大きな潮流を生み出した」と評されています。

ツアーとライブ

アルバムリリース後には、「BEAT TO PLATON」ツアーと「BOØWY'S BE AMBITIOUS TOUR」が開催され、全国各地で熱狂的なライブパフォーマンスを繰り広げました。渋谷公会堂でのライブでは、氷室が上京時のエピソードを語り、「CLOUDY HEART」の制作秘話を明かしています。また、ライブでは低温花火を使用するなど、演出面にも工夫が見られました。

評価

本作は、BOØWYの音楽性の転換点となった作品として、現在でも高く評価されています。CDジャーナルは「ロックバンドの頂点を極める第一歩となる作品」と評し、音楽誌では「その後のニッポンのロックにおけるひとつの大きな潮流を生み出した記念碑的作品」と評しています。ベルリンでのレコーディングや、マイケル・ツィマリングのエンジニアリングが、BOØWYのサウンドを大きく進化させたと指摘されています。本作は、単なるアルバム以上の意味を持ち、その後の日本のロックシーンに多大な影響を与えました。

収録曲

Dreamin'
黒のラプソディー
BABY ACTION
唇にジェラシー
ホンキー・トンキー・クレイジー
BAD FEELING
CHU-RU-LU
DANCE CRAZE
ハイウェイに乗る前に
CLOUDY HEART

スタッフ

氷室京介 – ボーカル
布袋寅泰 – ギター、シンセサイザー
松井恒松 – ベース
高橋信 – ドラム
佐久間正英 – サウンド・プロデューサー、シンセサイザー
マイケル・ツィマリング – レコーディング・エンジニア
糟谷銑司 – プロダクション・プロデューサー

リリース情報

1985年6月21日：LP、CT
1985年7月20日：CD
2005年2月16日：24ビット・デジタルリマスター版
2007年12月24日：紙ジャケット仕様
2012年12月24日：ブルースペックCD2
2015年6月24日：FLAC再リリース
2015年8月5日：Blu-ray Disc Audio、UHQCD
2015年8月26日：重量盤LP
2017年6月28日：紙ジャケット盤復刻

もう一度検索