BP (企業)
BP（ビーピー、英語: BP plc）は、イギリスのロンドンに本社を置く、世界的に事業を展開する多国籍エネルギー企業です。かつてはブリティッシュ・ペトロリアム（The British Petroleum Company plc）として知られていました。
現代の国際石油資本の中で特に巨大な規模を持つ企業群は「スーパーメジャー」と総称されており、BPはその主要6社の一つに数えられています。ロンドン証券取引所（LSE）をはじめ、ニューヨーク証券取引所（NYSE）やフランクフルト証券取引所（FWB）にも上場しており、LSEにおいては主要株価指数のFTSE100を構成する銘柄です。
BPは、第二次世界大戦後から1970年代にかけて世界の石油生産をほぼ独占していた「セブン・シスターズ」と呼ばれる7社のうちの一社でした。現在も、油田やガス田の探査・開発・採掘といった「上流」部門から、原油の精製、製品の輸送・販売、石油化学製品の製造、さらには電力事業やエネルギー取引といった「下流」部門まで、エネルギーバリューチェーン全体を垂直統合して事業を展開しています。2018年末時点では、世界約80か国で日量換算370万バレルの原油生産能力を持ち、約200億バレル相当の確認埋蔵量を保有していました。
持続可能な社会の実現に向け、BPは再生可能エネルギー分野への投資を積極的に進めています。バイオ燃料、風力発電、太陽光発電などの多様な技術に加えて、スマートグリッドといった新しいエネルギーソリューションの開発にも力を入れており、低炭素社会への移行を見据えた事業構造の変革を進めています。
BPは毎年、「BP統計（BP Statistical Review of World Energy）」として世界のエネルギーに関する詳細な統計資料を発表しています。この統計は、石油や天然ガスをはじめとするエネルギー資源の生産、消費、埋蔵量などのデータを網羅しており、エネルギー業界の動向を分析する上で不可欠な情報源として広く利用されています。
BPの起源は、1901年にイギリスの実業家ウィリアム・ノックス・ダーシーがペルシャ政府（当時のイラン）から石油採掘の独占権を取得したことに遡ります。1908年にはマスジェデ・ソレイマーンで大規模な石油の商業生産に成功し、翌1909年にアングロ・ペルシャン・オイル・カンパニー（APOC）が設立され、イランでの本格的な油田開発が始まりました。1930年代にはペルシャ政府との間で利権を巡る対立が生じましたが、最終的には新協定が締結されました。1935年にアングロイラニアン・オイル・カンパニーに改称した後、1950年代にはイランでの石油国有化を巡る「アーバーダーン危機」に直面し、事業は一時困難に陥りましたが、再編を経てザ・ブリティッシュ・ペトロリアム・カンパニー・リミテッドとして新たなスタートを切りました。
1987年にはイギリス政府が保有していた株式をすべて売却し、完全民営化を達成しました。1990年代後半から2000年代初頭にかけて、BPはアメリカの大手石油会社アモコやARCO、世界的な潤滑油メーカーであるカストロールなどを次々と買収し、企業規模を飛躍的に拡大させ、現在の「スーパーメジャー」としての地位を確立しました。2003年にはロシア最大の石油会社ロスネフチとの合弁事業TNK-BPを設立しましたが、後に合弁は解消されています。
2010年には、メキシコ湾で発生した大規模な原油流出事故により、多大な社会的・環境的影響と巨額の賠償・処理費用を負担しました。近年では、2022年のロシアによるウクライナ侵攻を受け、BPはロシアのロスネフチ株式（19.75%保有）の売却とロシア国内からの事業撤退意向を表明しました。これにより、一時的に多額の評価損を計上しましたが、一方でエネルギー転換への取り組みを加速させており、同年10月には米国の再生可能天然ガス企業アーキア・エナジーを買収すると発表しています。BPは売上高において世界の主要企業の一つであり、2020年のフォーチュン・グローバル500リストでは総収益で世界第8位にランクインしました。
BPは日本においても様々な事業を展開しています。
インダストリアル: 金属加工油剤や高性能潤滑油の販売。
グローバル マリン＆エナジー: 船舶用潤滑油の販売。
石油化学事業部: 石油化学製品の販売。
サプライ＆トレーディング: エネルギー関連の供給および取引。
* 再生可能エネルギー: 再生可能エネルギー関連の事業。
特に潤滑油の販売については、BPジャパン株式会社とBPカストロール株式会社の2法人体制で事業を行っており、自動車用エンジンオイルはBPカストロール株式会社が担当しています。かつては、ベイシアグループと共同でセルフ式ガソリンスタンド「BP EXPRESS」を運営していましたが、2002年に石油製品の小売販売事業からは撤退しました。
BPの関係者が、1981年に経営危機に陥ったイギリスのコンピュータメーカーICLの再建委員長を務め、政府の救済融資を活用した経営再建や、その後の富士通による買収を支援した例など、エネルギー分野以外の社会的影響力も持っています。また、航空燃料ブランドのAir BPはレッドブル・エアレースの公式サプライヤーとなったことがあります。コンビニエンスストアのam/pmも、かつてBPが展開していたブランドの一つです。
概要
現代の国際石油資本の中で特に巨大な規模を持つ企業群は「スーパーメジャー」と総称されており、BPはその主要6社の一つに数えられています。ロンドン証券取引所（LSE）をはじめ、ニューヨーク証券取引所（NYSE）やフランクフルト証券取引所（FWB）にも上場しており、LSEにおいては主要株価指数のFTSE100を構成する銘柄です。
BPは、第二次世界大戦後から1970年代にかけて世界の石油生産をほぼ独占していた「セブン・シスターズ」と呼ばれる7社のうちの一社でした。現在も、油田やガス田の探査・開発・採掘といった「上流」部門から、原油の精製、製品の輸送・販売、石油化学製品の製造、さらには電力事業やエネルギー取引といった「下流」部門まで、エネルギーバリューチェーン全体を垂直統合して事業を展開しています。2018年末時点では、世界約80か国で日量換算370万バレルの原油生産能力を持ち、約200億バレル相当の確認埋蔵量を保有していました。
新たなエネルギーへの投資
持続可能な社会の実現に向け、BPは再生可能エネルギー分野への投資を積極的に進めています。バイオ燃料、風力発電、太陽光発電などの多様な技術に加えて、スマートグリッドといった新しいエネルギーソリューションの開発にも力を入れており、低炭素社会への移行を見据えた事業構造の変革を進めています。
エネルギー統計資料
BPは毎年、「BP統計（BP Statistical Review of World Energy）」として世界のエネルギーに関する詳細な統計資料を発表しています。この統計は、石油や天然ガスをはじめとするエネルギー資源の生産、消費、埋蔵量などのデータを網羅しており、エネルギー業界の動向を分析する上で不可欠な情報源として広く利用されています。
歴史とグローバル展開
BPの起源は、1901年にイギリスの実業家ウィリアム・ノックス・ダーシーがペルシャ政府（当時のイラン）から石油採掘の独占権を取得したことに遡ります。1908年にはマスジェデ・ソレイマーンで大規模な石油の商業生産に成功し、翌1909年にアングロ・ペルシャン・オイル・カンパニー（APOC）が設立され、イランでの本格的な油田開発が始まりました。1930年代にはペルシャ政府との間で利権を巡る対立が生じましたが、最終的には新協定が締結されました。1935年にアングロイラニアン・オイル・カンパニーに改称した後、1950年代にはイランでの石油国有化を巡る「アーバーダーン危機」に直面し、事業は一時困難に陥りましたが、再編を経てザ・ブリティッシュ・ペトロリアム・カンパニー・リミテッドとして新たなスタートを切りました。
1987年にはイギリス政府が保有していた株式をすべて売却し、完全民営化を達成しました。1990年代後半から2000年代初頭にかけて、BPはアメリカの大手石油会社アモコやARCO、世界的な潤滑油メーカーであるカストロールなどを次々と買収し、企業規模を飛躍的に拡大させ、現在の「スーパーメジャー」としての地位を確立しました。2003年にはロシア最大の石油会社ロスネフチとの合弁事業TNK-BPを設立しましたが、後に合弁は解消されています。
近年の重要な動向
2010年には、メキシコ湾で発生した大規模な原油流出事故により、多大な社会的・環境的影響と巨額の賠償・処理費用を負担しました。近年では、2022年のロシアによるウクライナ侵攻を受け、BPはロシアのロスネフチ株式（19.75%保有）の売却とロシア国内からの事業撤退意向を表明しました。これにより、一時的に多額の評価損を計上しましたが、一方でエネルギー転換への取り組みを加速させており、同年10月には米国の再生可能天然ガス企業アーキア・エナジーを買収すると発表しています。BPは売上高において世界の主要企業の一つであり、2020年のフォーチュン・グローバル500リストでは総収益で世界第8位にランクインしました。
日本での事業展開
BPは日本においても様々な事業を展開しています。
インダストリアル: 金属加工油剤や高性能潤滑油の販売。
グローバル マリン＆エナジー: 船舶用潤滑油の販売。
石油化学事業部: 石油化学製品の販売。
サプライ＆トレーディング: エネルギー関連の供給および取引。
* 再生可能エネルギー: 再生可能エネルギー関連の事業。
特に潤滑油の販売については、BPジャパン株式会社とBPカストロール株式会社の2法人体制で事業を行っており、自動車用エンジンオイルはBPカストロール株式会社が担当しています。かつては、ベイシアグループと共同でセルフ式ガソリンスタンド「BP EXPRESS」を運営していましたが、2002年に石油製品の小売販売事業からは撤退しました。
その他
BPの関係者が、1981年に経営危機に陥ったイギリスのコンピュータメーカーICLの再建委員長を務め、政府の救済融資を活用した経営再建や、その後の富士通による買収を支援した例など、エネルギー分野以外の社会的影響力も持っています。また、航空燃料ブランドのAir BPはレッドブル・エアレースの公式サプライヤーとなったことがあります。コンビニエンスストアのam/pmも、かつてBPが展開していたブランドの一つです。
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