BRM・P138

BRM・P138は、[ブリティッシュ・レーシング・モータース]が1968年と1969年のF1世界選手権に投入したフォーミュラカーです。設計はレン・テリーが担当し、自社製の3.0リッターV12エンジンを搭載していました。このマシンは、BRMチームにとって重要な役割を果たしたものの、同時に幾多の困難も経験しました。

1968年シーズン、P138は2戦に投入されましたが、両レースともエンジントラブルによりリタイアという結果に終わりました。第9戦ではペドロ・ロドリゲスが、第11戦ではボビー・アンサーがステアリングを握りました。この年のBRMはコンストラクターズランキング5位を獲得しましたが、そのポイントはP126とP133によるもので、P138からの貢献はありませんでした。

1969年シーズンは、開幕戦の南アフリカグランプリから参戦。ジョン・サーティースとジャッキー・オリバーがドライバーとして起用され、サーティースがP138、オリバーがP133をドライブしました。サーティースはエンジントラブルでリタイアを喫しましたが、続くスペイングランプリでは5位入賞という好成績を収めました。しかし、モナコグランプリではギアボックストラブルによりリタイア。さらに、ジャック・ブラバムとの接触事故も発生しました。オランダグランプリでは9位で完走を果たしましたが、その後、チームは再建のためフランスグランプリを欠場。イギリスグランプリでは新型のP139が投入されました。ドイツグランプリでは再びP138が使用されましたが、ジャッキー・オリバーはオイル漏れによりリタイア。イタリアグランプリではP138は使用されず、代わりにオリバーがP139をドライブしました。カナダグランプリではカナダ人ドライバーのビル・ブラックがP138をドライブしましたが、10周遅れのため非完走となりました。アメリカグランプリと最終戦メキシコグランプリでは、ジョージ・イートンがP138をドライブしましたが、アメリカではエンジントラブル、メキシコではギアボックストラブルにより、いずれもリタイアという結果に終わりました。この年もBRMはコンストラクターズランキング5位に終わりましたが、獲得ポイントはP133とP139によるものでした。

P138は、潜在能力は高くとも、信頼性の面で課題を抱えていたと言えるでしょう。エンジントラブルやギアボックストラブルといった機械的な問題が、レースでの好成績を阻む大きな要因となりました。しかし、幾多の困難にもかかわらず、P138はBRMチームの一員として、1968年と1969年のF1世界選手権に参戦し、ドライバーたちのスキルと努力を支え、チームの歴史にその名を刻みました。洗練されたデザインと強力なV12エンジンを搭載したP138は、技術的な挑戦とレースの過酷さを物語る、F1の歴史における重要な1ページを飾るマシンと言えるでしょう。

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