Baudot Code

ボドーコード

ボドーコードは、フランスの技術者エミール・ボドーが1870年代に発明した、5ビット方式の文字コードです。1876年3月に特許を取得しており、初期の電信システムにおいて重要な役割を果たしました。

概要

エミール・ボドーが開発したボドーコードは、5ビットを使用して文字や記号を表現するもので、当初は「国際テレグラフ・アルファベット No.1（ITA No.1）」として採用されました。その後、ドナルド・マレーによって改良され、1905年に「国際テレグラフ・アルファベット No.2（ITA No.2）」として標準化されました。

歴史

モールス符号からの進化

ボドーコードが登場する以前、電信では主にモールス符号が使用されていました。モールス符号は可変長の符号であり、一定のリズムでの入力が必要でした。

ボドーの革新

1872年、エミール・ボドーは初のマルチプレックス方式の電信機を開発しました。彼は、従来の6ビットコードを5ビットコードに変更し、1876年に特許を取得しました。この5ビットコードのアイデアは、以前にドイツのカール・フリードリヒ・ガウスやヴィルヘルム・ヴェーバーによって示唆されていたものの、ボドーはそれを実用的なシステムとして実現しました。

ITA No.1

ボドーのオリジナルコードは、ITA No.1として知られるようになりました。このコードは手動の装置で送信され、両手を使って5つのキーを操作しました。キーを押すとロックされ、信号が送信されるまでロック状態が維持されました。信号送信後、キーが解放され、次の入力を促すクリック音が鳴りました。この装置は、一定のリズムで操作する必要があり、平均的な操作速度は1分間に30語程度でした。

ITA No.2

1905年、ドナルド・マレーがボドーコードをさらに改良し、ITA No.2を発表しました。ITA No.2は、1931年に国際標準として承認され、テレタイプ端末の標準的なコードとして広く使用されました。ITA No.2は、ASCIIコードが普及するまで、長らく標準として利用されていました。

ITA No.2の特徴

ITA No.2では、シフトコードを使用して文字と数字/記号を切り替える方式が採用されています。例えば、数字や記号を入力する際には「FIGS」コードを使用し、アルファベットに戻す際には「LTRS」コードを使用する必要があります。また、一文字ごとにスタートビット1つとストップビット1.5つが追加される調歩同期方式（非同期）でデータが送信されました。

現在の利用状況

現在では、テレックスの利用が減少し、ITA No.2が使用される機会も少なくなりました。しかし、アマチュア無線のRTTY（無線テレタイプ）では、依然としてITA No.2が使用されています。

コードの比較

以下に、ITA No.2とアメリカのUS Bell方式の文字コードの比較を示します。ITA No.2とUS Bellでは、記号のコードに若干の違いがあります。また、「ENQ」コードは、相手端末に「あなたは誰ですか？」と問い合わせる際に使用されます。

まとめ

ボドーコードは、電信技術の発展において重要な役割を果たした文字コードです。そのシンプルさと効率性から、長年にわたって利用され、その後の文字コード体系の発展に影響を与えました。現在では利用される機会が減っていますが、アマチュア無線などの分野でその名残を見ることができます。

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