Bellator MMA

Bellator MMAとは

Bellator MMAは、かつてアメリカ合衆国を拠点に活動していた主要な総合格闘技プロモーションです。2008年に誕生し、設立当初から独自の運営方式で注目を集めました。団体の名称である「Bellator」はラテン語で「戦士」を意味しており、その名の通り、数々の激闘の舞台となりました。

設立と初期の運営

この団体は、2008年9月にビヨン・レブニー氏によってカリフォルニア州サンタモニカで「Bellator Fighting Championship」として創設されました。設立当初の最大の特徴は、各階級で実施された8人または4人参加のトーナメントシステムです。このトーナメントで優勝した選手は、各階級のチャンピオンへの挑戦権と10万ドルの賞金を獲得できる仕組みとなっており、新たな才能の発掘と挑戦者を明確にする手法として機能しました。

バイアコム傘下での拡大

2011年10月、大手メディア企業であるバイアコムがBellatorの株式過半数を取得し、経営権を獲得したことで、団体は大きな転換期を迎えます。これに伴い、2013年1月17日にはSpikeチャンネルでの放送が開始され、団体名も「Bellator MMA」と改称されました。バイアコム傘下に入ったことで、団体はより大きな資本とメディア露出の機会を得て、規模を拡大していきます。

2014年には、Bellator 120として初のペイ・パー・ビュー（PPV）大会を開催。同年6月18日には、創設者であるビヨン・レブニー氏がCEO職を解任され、元Strikeforce代表のスコット・コーカー氏が後任CEOに就任するという経営陣の大きな刷新がありました。スコット・コーカー氏の指揮のもと、団体はフリーエージェント選手の獲得や他団体との交流を積極的に行うようになります。

放送体制も変遷を重ね、2018年6月26日にはDAZNとの配信契約を発表。親会社であるバイアコムがCBSコーポレーションと合併しバイアコムCBS（後のパラマウント・グローバル）となった影響もあり、2020年からはCBS Sports Network、2021年2月9日からはShowtimeでの放送が開始されました。また、2021年4月2日のBellator 255からは、公式ランキングが導入され、選手の評価基準がより明確になりました。しかし、2023年10月には、親会社のパラマウント・グローバルがShowtimeのスポーツ部門閉鎖を決定し、年末をもってBellatorの放送から撤退することを発表しました。

PFLによる買収と活動終了

Showtime撤退の発表に続く形で、2023年11月20日、別の米総合格闘技団体であるProfessional Fighters League（PFL）がBellatorを買収したことが公表されました。買収後も当初は「ベラトール・インターナショナル・チャンピオンシリーズ」という名称でイベントが開催される予定であり、パラマウント・グローバルも引き続き少数株主として関与するとされていました。2024年2月にはサウジアラビアでPFLとの対抗戦が行われ、ベラトール側の選手が優位な結果を示しましたが、その後の運営方針は大きく変化しました。

2024年9月以降、ベラトール単独名義での大会は行われなくなり、10月以降に予定されていたイベントも全て中止となりました。そして、PFLがドバイとの間で新たなパートナーシップを締結したことを受け、PFL以外の大会は『ROAD TO DUBAI』という共同ブランドでの開催形式へと移行しました。最終的に、2025年1月15日、PFLはベラトールという団体名を廃止し、両団体の選手ロースターをPFLへ一本化することを発表。これにより、Bellator MMAはその17年余りの歴史に幕を下ろすこととなりました。

採用されていたルールと階級

Bellator MMAでは、主にニュージャージー州アスレチック・コントロール・ボード（NJSACB）が定めるユニファイドルールに準拠したルールが採用されていました。試合場としては、円形のケージ（金網）が使用されていました。ただし、ビヨン・レブニー氏がCEOを務めていた初期のトーナメントでは、選手のカットを防ぐため、決勝戦以外の試合において頭部や顔面への肘打ちが禁止されるという独自のローカルルールが存在しました。

階級制については、NJSACBの体重区分を基準としていました。男子はヘビー級からバンタム級までの7階級、女子はフェザー級からストロー級までの3階級でタイトルが認定されていました。

日本における活動

Bellator MMAは、日本とも深い関わりを持っていました。2010年6月10日のBellator 21には、日本人選手として初めて藤井惠選手が出場し、その後のトーナメントで準優勝する活躍を見せました。以降も多くの日本人選手がBellatorのリングに上がりました。

特に、スコット・コーカーCEOと日本のRIZIN FFを率いる榊原信行CEOが旧知の仲であったことから、RIZINとのクロスプロモーションが積極的に展開されました。2018年末のRIZIN.14では、当時のBellator世界バンタム級王者ダリオン・コールドウェル選手が来日し、堀口恭司選手と対戦。翌年6月14日には、アメリカのBellator 222で堀口恭司選手がコールドウェル選手に挑戦し、見事に勝利を収めて日本人初のBellator世界王者となりました。また、RIZINのライト級ワールドグランプリには、Bellatorからパトリッキー・フレイレ選手が参戦するなど、選手の交流も活発でした。

両団体の連携は大会開催にも及び、2019年12月29日にはBellatorとして初の日本大会「BELLATOR JAPAN」をRIZINと共同で開催。同大会および大晦日のRIZIN.20では、両団体の選手による対抗戦が行われました。2022年末のRIZIN.40でも、王者クラスの選手が集結した5対5の全面対抗戦が実現するなど、ファンを沸かせました。2023年7月30日には「超RIZIN.2」もRIZINとの共同開催で行われています。

日本における放送に関しては、当初DAZNやYouTubeなどで視聴可能でしたが、2021年12月以降はパラマウント・グローバルとの独占ライセンス契約を結んだU-NEXTで主要大会が配信されていました。放送時には、川尻達也氏や水垣偉弥氏といった著名な元格闘家が解説を務め、市川勝也氏などが実況を担当しました。

Bellator MMAは、その独自の運営スタイルと積極的な国際交流によって、世界の総合格闘技シーンに確かな足跡を残しました。その歴史は短いものでしたが、多くの名勝負とスター選手を生み出し、格闘技ファンに記憶される団体です。

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