C級駆逐艦 (3代)

C級駆逐艦：第二次世界大戦下の急造駆逐艦

C級駆逐艦は、第二次世界大戦中のイギリス海軍において、戦時予算に基づいて建造された駆逐艦の艦級です。1941年と1942年度の戦時予算により、Ca級、Ch級、Co級、Cr級の4グループ合計32隻が建造され、1944年から1945年にかけて就役しました。

開発の背景

第二次世界大戦の勃発に伴い、イギリス海軍は戦時緊急計画を発動し、駆逐艦の大量建造に着手しました。当初は、J級駆逐艦をベースとしたO級やP級が建造されましたが、戦訓や急造の必要性から、Q級、R級、S級、T級と、設計が順次変更されました。1941年度戦時予算では、U級、V級、W級、Z級に続き、1942年2月にはCa級が発注されました。さらに1942年度戦時予算では、Ch級、Co級、Cr級の3グループ24隻が建造されました。

設計

C級駆逐艦は、基本的にはZ級駆逐艦の準同型艦であり、単煙突・船首楼型の船型を踏襲しています。燃料搭載量の増大や復原性の改善、トランサム・スターン、トライバル級と同様の艦首形状など、過去の設計で導入された要素も取り入れられました。機関は、アドミラルティ式3胴型水管ボイラーとパーソンズ式オール・ギヤード・タービンによる2軸推進で、出力は40,000馬力でした。

装備

センサー

C級駆逐艦は、戦時急造艦隊として初めて、情報処理システムを完全に実装した艦級です。イギリス海軍は1940年7月からレーダーの艦載運用を開始していましたが、レーダー情報の活用には艦内組織の変革が必要でした。そのため、目標情報を集中処理するAIO（Action Information Organisation）や、射撃指揮に直接活用するTIU-2（Target Indication Unit）が導入されました。また、通信・通信傍受情報を処理するQD区画も実装されました。これらの情報処理システムにより、C級駆逐艦は他の戦時急造艦隊よりも優れた艦として扱われました。ただし、Ca級の一部はAIOのみの装備でした。

武器システム

艦砲は、Z級から引き継がれた45口径11.4cm砲と、最大仰角55度の単装砲架CP Mk.Vの組み合わせです。射撃指揮装置は、K Mk.I方位盤が搭載され、方位盤からの油圧サーボ弁操作による砲架の遠隔操縦が可能でした。Ch級以降では、初の両用方位盤であるMk.VI DCTが搭載されました。また、戦後にはCa級でもMk.6M方位盤への換装が行われました。近距離対空兵器としては、56口径40mm連装機銃が基本構成でしたが、一部の艦では39口径40mm4連装機銃や39口径40mm単装機銃、70口径20mm機銃などが搭載されました。対艦兵器としては、21インチ4連装魚雷発射管が2基予定されていましたが、Ch級以降は1基のみとなりました。

各艦級の特徴

Ca級

Ca級は、終戦近くに就役し、戦後間もなく予備役編入されましたが、1950年代に近代化改修を受けました。この改修では、後部魚雷発射管の撤去、スキッド対潜迫撃砲の搭載、遠隔操作機能の付与、新型機関砲への換装、艦橋の改修などが行われました。さらに、一部の艦にはシーキャットPDMSが追加されました。Ca級は1960年代後半から1970年代前半に退役しましたが、「キャヴァリア」は博物館船として展示されています。

Ch級

Ch級は1943年に起工されましたが、就役は終戦後であったため、実戦投入されることはありませんでした。1950年代に2隻がパキスタン海軍に売却されましたが、1隻が第三次印パ戦争で大破・解体されました。

Co級

Co級もCh級と同様に終戦後に就役しました。全艦がイギリス海軍で運用され、外国への譲渡は行われず、1950年代末から1960年代初めに退役しました。

Cr級

Cr級は1943年から1944年にかけて起工されましたが、就役は終戦後でした。就役前に6隻が外国に譲渡され、残る2隻も1958年にパキスタン海軍に譲渡されました。

まとめ

C級駆逐艦は、第二次世界大戦中のイギリス海軍を支えた重要な艦級です。情報処理能力の高さから、戦後も比較的長く活躍しました。各艦級の戦歴や近代化改修の様子は、当時の海軍技術や戦略の変化を物語っています。

関連項目

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